【スタッフ研修受講記】8/21 誰のための会計?

●プロローグ:誰のために?

こんにちは!
あいかわらず暑さで溶けそうなはざまです。

さて、今日は久しぶりのセミナー放浪記です。
今日はこんなセミナーに参加してきました↓
管理会計の基礎講座 公認会計士 管理会計ラボ株式会社代表取締役  梅澤 真由美先生
場所は東京駅!まるのうち!!だいとかーい!!!

突然ですが、「会計」って、なんでしょう?

単語としては日常生活でもよく出てくる言葉ですが、
会社の「会計」という時は、
会社の取引を区分・整理して、
利益や財産を正確に、かつ見やすく整える
といった内容を指すことが多いです。

では、この「正確に、見やすく」とは、
誰からの視点で考えられているでしょうか?
この点で、「会計」は、2種類に分かれます。
「制度」会計と、「管理」会計といいます。

●第1章:制度会計・管理会計
「制度」会計は、大きな視点に立ち、
その会社を、他の会社と比較ができるように
決まった「制度」に基づいて会計のデータを整えることを目的にしています。
ここで「制度」とは、日本の国の法律(会社法、税法、金融商品取引法等)に加え、
この法律を補佐する役割である会計基準(会社の利益や財産の計算方法の法則)を指します。

この「制度」会計が必要とされるのは、
税金は、どの会社も平等な条件の下で負担すべきという国の考え方、
そして投資先の会社を、同じ基準で比較検討したいという投資家の要望があるためです。
たとえば日本中の会社が、それぞれ自分の考え方で売上を上げたり、費用を入れたりしたら、
経営者の考え方次第で、
同じ商売をしていても報告される会社の情報が大きくずれてしまいます。
「制度」会計は、そういった事態を防ぐために
守らなければならない表示・計算の方法に従って取りまとめられた報告を指します。

一方、今回のセミナーのテーマである「管理」会計は、
会社内部(またはそれに近い関係者)からの視点で考える会計です。
「管理」会計には、法律やルールはありません。
やり方は会社が好きに決めていいのです。

毎年の決算において
法的に強制される「制度」会計に基づく利益計算をするのは義務ですが、
これに加え「管理」会計を行った場合、
「制度」会計では抽出できない
会社独自の状況や個性を明らかにしたうえで、
会社の将来に役立つデータを得ることができるようになります。

例えば、
会社の進めているプロジェクトごとに利益効率を計算したい、
経営者の見込と、実際の会社の状況のずれとその原因を確認したい
といった要望に、「制度」会計の決算書や法人税申告書は答えてくれません。
これは、あくまで会社全体の状況を「全体で、まとめて」計算した書類に過ぎないからです。

あなたが経営者だとして、
今期、前期より利益が10%増えたとしましょう。
やりましたね!嬉しい!!
では、原因として考えられることは何でしょうか?
来年に向けてどのような取組みをしたら効果的でしょうか?

1.売上単価が増えたのかもしれません。
2.単価はそのまま、売上数が増えたのかもしれません。
3.または売上ではなく、仕入単価が下がり、
  商品1つ当たりの利益幅が増えたのかもしれません。
4.人件費が減ったのかもしれません。
  その場合、時給を減らしたのが原因でしょうか?
  雇う人数を減らしたのが原因でしょうか?
  それとも正社員とアルバイトの比率が変わったのでしょうか?
5.経営者が利益アップを狙って打った手と、
  実際に利益がアップした原因は一致しているでしょうか?
  また、どのくらい差があるでしょうか?
  差があるとしたら、次はどんな手を考えられるでしょうか?

会計でまとめられた数字を、会社ごとに使い倒す手段が
「管理」会計です。
「管理」会計を自分の知りたい情報に合わせて設計できたら、
業界平均や報道で取り上げられる参考値などよりはるかに信用性の高い、
あなたの会社のためのオーダーメイドのデータが出来上がるのです。

●第2章:管理会計の入り口は?
「管理」会計、奥は深いんです。
やろうと思えばどんな細かいデータだってとれます。
でも会計の数字を使い倒す上で重要なのは、
実のところ重箱の隅をつつくことではなく
大体でいいので全体を適切にとらえる力だったりします。

だから、ここでご紹介する「管理」会計の手法は2つだけ。
ひとつは「予算管理」
ふたつめは「部門・補助科目管理」

なんだ、そんなのやってるよ、
と思われた方が多いと思います。
では、その予算は現実的でしょうか?
予算が毎月大きくずれるとしたら、その原因は何ですか?
部門・補助科目は、自分の知りたい情報を教えてくれますか?
なぜその部門・その補助科目でデータを区分しているか、目的を覚えていますか?

予算は、経営者の予想です。
楽観的な見方、悲観的な見方、経営者の性格によって
予算と実績の差はある程度出るのが当然ではあります。
しかし、差額がなぜ出たのか?
差額が多ければ多いほど、これは重要です。
この差異の原因を具体的に分析してみると、
会社の取った作戦と、現実とのずれが見えてくるはずです。
この差異を毎月行った場合、差異をそのまま見過ごす場合に比べ
年月に比例して予想の精度は圧倒的に高くなることになります。

ふたつめ、部門や補助科目の設定については、
会社の知りたい情報を取れるように設定することが重要です。
会計上の勘定科目の設定については、
決まっていて、動かせないものだと思っている方が多いのですが、
実は、制度会計上のルールさえ守れば、
どのような分類を設定するか、
またその分類にはどういった内容を含めるかは、
会社の自由に設定できるのです。

例えば
売上を商品別に分けたい、
配送費を手段ごとに分けたい、
店別、担当者別の利益を確認したい、など。

会計ソフトを使用しているのであれば、
会計入力の時に、必要な情報を追加すれば
必要なデータは出来上がります。
(このひと手間だけは、どうしても必要です…)
ただしここでも重要なのは
細かい点にこだわることではなく
大きな視点でとらえることです。

例えば、
本社家賃のうち特定の商品に使われているのはいくらか、
このボールペンはどの仕事のために使われたのか…
そういったことまで追いはじめるとキリがありません。
今回のセミナーでは、5つの費用を指標とするのが目安と言っていました。

例えば卸売業で考えると、
売上・原価・販売手数料・配送費・人件費
あたりが目立つ要素でしょうか…
この5つについて、商品別・店別などで比較すると
自社の利益の構造をざっくり把握することができます。
なお、このうち人件費については、
多くの場合時間あたりで金額の計算をしますので、
どの仕事に、どのくらいの時間がかかるのか、も把握しておくと、
非常に役立ちます。(日報などを元に大まかに集計します)

●第3章:数字を把握するためのコツ
予算を立てる時、そして差異の確認をする時に
覚えておくべき基本的な考え方があります。
「変動費」・「固定費」 という区分です。
これを手掛かりにすれば、初めての方でも簡単な予算は作成できます。

簡単に言えば、「変動費」とは、売上と連動して増減する項目です。
例えば、仕入や、販売に必要な手数料がこれに該当します。
会社によっては店舗の人件費や配送料、水道光熱費なども連動するはずです。
こういった性質の金額は、売上が上がれば増え、売上が落ちると減ります。
つまり、「変動費」は目標売上×過去の実績%で予測できます。

一方「固定費」とは、売上とは関係なく、
一定額が常に発生する項目です。
よく例に挙げられるのは、本社の家賃、社長や管理部の人件費
それから固定資産税や通信費、システム使用料などです。
これらは会社の売上が上がろうと上がるまいと、関係なく発生する金額です。
つまり、「固定費」は、いつも、この費用はどれくらいかかるか?で予測できます。

会社は、
・商品を売ってお金を受取り、
・このお金で原価と販売に必要な費用(変動費)を払って、
・さらに残った金額で会社の維持費(固定費)を払って
利益を残す必要があります。

となると、予算を立てる時には
・いくら売りたいか?(売れそうか?)
・原価と変動費はこの売上の何%かかるか?
・固定費は過去の実績から見ていくらくらいかかりそうか?
この3つを並べていけば、とりあえずたたき台はできるわけです。

はざまの経験上ですと、
経営者の方は前向きな方が多いので、
最初の年は、なかなか達成のハードルが高い予算ができあがります。
しかしその後毎年、この予算と実績との差額を探っていけば
徐々に現実的な予算を組めるようになるはずです。

●第4章:差異を把握するためのコツ
目の前にある自社の業績を、どう見たらいいのでしょうか?
黒字?やった!
赤字?悲しい。
それだけではもったいないです。

比較しなければ、その数字の持つ意味を把握することができません。
では、何と比較すればよいでしょうか?
何はさておき、
・自社の前期と比較
・自社の予算と比較
この2つが一番効果的です。

今回のセミナーの先生の言葉を借りれば、
・前期との比較→新たに発生したトレンドを
・予算との比較→当初の意図とのずれを
把握できることになります。

経営者の方にとっては特に、
変化は数字でなく、感覚でわかる時があるかもしれません。
しかし、変化が目に見えるようになってからでは対策が遅すぎるかもしれません。
また、従業員の方に対しては
数字の裏付けをもって行動指標を示すほうが納得していただきやすくなるはずです。

会計は、時に「過去しか見ていない」と揶揄される場合があります。
しかし、将来は夢や理想を積み重ねても描けません。
未来に向けた具体的な作戦を練るためには、
自社で積み重ねた独自のデータは必要不可欠な材料です。
目の前にある数字こそが、その材料です。

●第5章:おわりに
ひかる会計では、
ご契約をいただいた当初は、税理士として
まずは「制度」会計に必要な作業をお伝えしておりますが
会社の状況に合わせて、徐々に
「管理」会計へとステップアップしていただけるよう
お客様へのご提案を行っております。

創業後数年は、業績の上下も激しく、
毎日事件の連続で、会計にまで時間を割けないよ!!
という時もあるかとは思います。
しかしご自分が苦労して取りまとめたデータ、
税務署や銀行ではなく、あなた自身のために
役立てられる数字としていただければ、
というのがひかる会計一同の願いです。

現在の会計で必要な情報が把握できない、とお考えの場合は
一緒に解決策を探していければと思いますので
どうぞ担当スタッフまでご相談ください。