column コラム

建物の時価ってなんやろう

 身内で不動産を売買する場合に、土地や建物の時価が問題になることがある。
 特に、個人の不動産を法人に購入させる、不動産所有会社を作るような場合。

 で、時価は、基本的には取得価額から減価償却費を控除した簿価なのだろう。

 例えば次の採決(法人から個人への売却)だと
(平16.3.16裁決、裁決事例集No.67 447頁)
 原処分庁は

建物取得価額を基礎として、取得の日から本件事業年度終了の時まで定率法により償却を行ったものとした場合の未償却残高から建物価額を算定する方法

 請求人は

「近年の不況や諸般の事情を考慮して建物価額を算定する方法」、さらに「固定資産税評価証明書に記載された評価額を建物価額とする方法」

 審判所は

原価法により鑑定評価額を求めることとし、当該原価法については、土地建物一体としての積算価格を求め、市場性修正を行った後、土地等価格(土地及びゴルフ会員権)を控除して、本件建物の積算価格を求めることとする。

 原価法とは
国土交通省/不動産鑑定評価基準

原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を積算価格という。)。
原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる。

 結局は、再調達原価から減価償却をした金額。
 少なくとも収益還元法とかは、税務署に対する納得感はきわめて低そう。

税理士 三村雄一