ひたすら悩む変動所得の範囲

三村雄一です。
 東京に来てから、新しいものを作るお客様と接することが多くなりました。するってえと出てくる問題が変動所得。
 何はともあれ変動所得に該当すると、所得税が思いっきり安くなったりするので要注意。
 その中でも「原稿若しくは作曲の報酬に係る所得又は著作権の使用料に係る所得(令7条の2)」この範囲がどうも著作権のずぶの素人にはわかりにくい。以下は素人なりの検討。

 まずもって変動所得は
原稿若しくは作曲の報酬に係る所得
著作権の使用料に係る所得
上記の二つのどっちか。

著作権の対象とは何か

●著作権の使用料に係る所得
 特にこっちが厄介。
 著作権法では、
第二章 著作者の権利
第三章 出版権
第四章 著作隣接権
こんな権利が明記されている。
 この中で明示的に「著作権」と言われるものは、どうやら著作物を創作する著作者に生じるものらしい。

—————————–以下条文など引用

著作権法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
(以下略)
(著作者の権利)
第十七条 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2 (略)

—————————–以上条文など引用

 著作物とは何かについてはもう少し詳しくて

—————————–以下条文など引用

第一節 著作物
(著作物の例示)
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
(二次的著作物)
第十一条 二次的著作物に対するこの法律による保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
(編集著作物)
第十二条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
(データベースの著作物)
第十二条の二 データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2 前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。

—————————–以下条文など引用

 長めに引用したけれども、これを見ると、プログラムとかも入ってくるね。プログラマーの皆さん。変動所得利用の可能性が結構ありますね。最終的にはこの著作物に該当するかどうかが変動所得のキモにはなりそう。

演出料

 で、演出の扱いが気になるのだけど、それは著作権法の別の部分に出てくる。役者さんや、演出家、演技指導等の方は実演家と呼ばれるらしい。そしてそれを著作隣接権と呼ぶらしい。著作権とは違う名前だな・・・。

—————————–以下条文など引用

著作権法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。
四 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

(著作隣接権)
第八十九条 実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。
2 レコード製作者は、第九十六条、第九十六条の二、第九十七条の二第一項及び第九十七条の三第一項に規定する権利並びに第九十七条第一項に規定する二次使用料及び第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。
3 放送事業者は、第九十八条から第百条までに規定する権利を享有する。
4 有線放送事業者は、第百条の二から第百条の五までに規定する権利を享有する。
5 前各項の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
6 第一項から第四項までの権利(実演家人格権並びに第一項及び第二項の報酬及び二次使用料を受ける権利を除く。)は、著作隣接権という。

—————————–以上条文など引用

 そして逐条解説を見てみると

—————————–以下条文など引用

変動所得の基因となる「著作権」には、著作隣接権は含まれない。法第204条第1項第1号の規定と対比すれば、このことは明らかである。

参考に
第二百四条 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
一 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、★著作権(著作隣接権を含む。)★又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金

—————————–以上条文など引用

と書いてあります。こう書かれてしまうと所得税法7条の2にいう「著作権」には著作権隣接権まで含むという、きちんとした反論ができないなら、著作隣接権の使用料まで変動所得の対象とすることはむずかしそうですね。
 まーでもそれなら、204条には著作権及び著作隣接権と書くべきだったんじゃないかね。「果物(すいかを含む)」と書いてあって、ほかで「果物」と書いたところにすいかを含むかどうかは、まだ解釈の余地がありそうな気もするが。

 とりあえずメモ程度に。