【スタッフ研修受講記】5/27 通関って何?

●プロローグ: 海は広いな大きいな

 皆さまこんにちは!
(またしても)はざまです。
わたくしの担当させていただいているお客様、
はざまは仕事もしておりますのでご安心ください!

今日はこんなセミナーに参加してきました↓
日本関税協会教育セミナー 通関手続(入門編) 石原伸志氏
弊事務所では、輸出入に関わるお仕事のお客様が多いです。
しかし、実は輸出入に関わる「関税」は税理士の専門外、
我々も税関の業務については素人なのです。。。
というわけで、今回は通関の基礎について学んでまいりました。

●1:そもそも「通関」ってなに?

つうかん?ぜいかん?にゅうかん?なんだか似たような言葉ですが
違いはわかりますか?
・「通関」
→国境に設けられた”関所”を”通”してものを運ぶ行為を指します。この業務の専門家が、「通関士」です。
・「税関」
→国境に設けられた”関所”そのものを指します。国境を超える物品を管理します。財務省税関局に所属します。
・「入管」
→漢字が違いますね。入国管理局の略で、物品ではなく人の出入を管理する役所です。法務省に所属します。
・「国税局・税務署」
→主に日本国内の税金を管理します。財務省外局である国税庁に所属します。※ココが税理士の業務分野!

「通関」とは、外国から日本、または日本から外国へ貨物を運ぶ行為全体を指すわけです。
この時避けて通れないのが、税関での事務手続で、これが一般的な「通関」のイメージです。
税関は現在9か所(函館・東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・門司・長崎+沖縄)に設けられています。
通関の主な役割は、
1.関税・消費税等税金の徴収
2.武器・麻薬や贋作品等国内への輸入制限品の取り締まり
とされています。

税関内には6つの部署があります。それぞれの役割は
・総務課 …政策・予算・局内調整
・管理課 …教育・人事
・関税課 …調査・企画・立案・統計
・監視課 …船舶・航空機・保税地域の監督
・業務課 …関税・消費税などの徴収
・調査課 …貨物・税額の調査
となっています。
普段、我々が輸出入業務で関わることが多そうなのは、業務課ですね。

また通関業務の基本になる法律は主に3つ
・通関法 …関税の基礎的な考え方についての項目
・関税定率法 …税率の具体的な規定
・関税暫定措置法 …時限的な特例(1年以内が多い)
ですが、
その他外国為替及び外国貿易法、輸出入取引法、貿易保険法も実際の業務には関わってきます。
これらの法律の規定を管理するのは、財務省の他、経産省、農林水産省です。

●2:通関が必要なのはどんな時?

・内国貨物を輸出する時
 ※内国貨物は、日本にある貨物(外国貨物を除く)のほか、日本の船が公海で釣った魚も含みます。
・外国貨物を輸入する時
 ※外国貨物とは、既に輸出の許可を受けた貨物&
 外国から本邦に到着した貨物で輸入が許可される前のもの(外国の船が公海で釣った魚も含みます)

ここで、内国貨物・外国貨物といわれるものは液体・個体・気体いずれかの実態を持つもの(有形財)です。
無形財であるサービス、知的財産権などはこれらの貨物に該当しません。

●3:関税は誰が払うの?

外国から物を買ったけど or 外国に物を売ったけど
この取引は関税がかかるの?かからないの?この質問をよく受けるのですが…
・基本的に、関税は荷物を引き取る側(輸入者)が、引き取りの時に支払います。
従って、日本国内に物品を輸入した方は関税を負担させられる可能性が高いです。
・また、輸入者は荷物を引き取る時に消費税も負担しなければなりません。
消費税は日本国内での物品とサービスの流通に対して支払う税金であって、
外国の物品は、日本に上陸した瞬間、日本にある物品として消費税の対象になるからです。

・逆に、輸出をする人は、原則として関税を支払いません。
輸出した先の国で、その物品を受け取った人が税金を負担するのです。
・また、輸出をした場合には消費税も支払の必要がありません。
日本国外で物品を購入した人が、日本国内の税金である消費税を負担することは不合理だからです。
なお輸出者は、輸出販売したことを証明すれば、仕入時に負担した国内の消費税を返してもらうこともできます。
(一定の要件に該当し、消費税の申告を行うことが必要)

●4:まあいいから、税金いくら?

これ、実は難しい質問です。
一般的な回答は次のようになります。

・関税は、 CIF価格×関税率
・消費税は、(CIF価格+関税+タバコなど個別税額)×8%
・あなたの支払う税金は、関税+消費税の合計額です。

※CIF価格とは、日本の輸入関税で税金のかかる基本的な価格をいいます。
CIF=「Cost(価格)」「Insurance(輸送保険料)」と「Freight(運賃)」の合計で、
輸入した貨物が港についた段階までに輸入者が負担すべき購入額に相当します。
従って、輸入した後でかかる日本国内での運送費用などは関税の対象とはなりません。
このような、輸入後に発生することになる費用があれば、CIF価格に含めず、
輸入の申請書類でDomesticChargeなどと明確に区分して記載しておけば関税の対象とはなりません。

●5:だから、関税率は何%?

CIF価格×関税率、、、って言われても、具体的な額がわかりませんよね。
関税率、これが曲者で、モノの種類や輸入の相手国によって非常に細かく分かれています。 
もはや素人には手に負えないので、ここが通関士の腕の見せどころになるわけです。

ひとくちに「税率」といっても、
何を輸入するか、で変わる税率だけで何種類もあります。
・従価税 …CIF価額×税率(一番一般的な計算の仕方)
・従量税 …1kgあたりいくら、で計算される税率(精製糖等)
・従価従量税 …従価税+従量税で計算される税率(バター等)
・従価従量選択税 …従価、従量いずれか高い方(低い方)を選択する税率(トウモロコシ等)
その他、
・差額関税 …輸入品が安く価額で市場に出回らないよう国産品の市価との差額を調整する税率(豚肉等)
・スライド関税 …国際市場の変動に合わせて税率調整、安ければ課税・高ければ無税(玉ねぎ・銅・鉛)
・季節関税 …国産品の収穫時期などに合わせて競合品の税率を調整(ミカン最盛期の輸入オレンジ等)
・これ以外にも便益税率、EPA(経済連携協定)税率etcetc…

また国際間の関係によって適用される税率が↓
・基本税率…国に関わらず、一品目の物品について一定の税率(これが一番基本)
・暫定税率…関税暫定措置法により国に関わらず特定の品目について一定の税率(一時的な措置)
・協定税率…WTO(世界貿易機関)加盟国間の貿易に限り適用する税率
・特恵税率…特定の国からの輸入に関してのみ適用する税率、従って原産地の証明が必須
      (開発途上国で、国連貿易開発会議加盟国で、かつ希望した国について政令で指定)
      現在128か国5地域
といった具合です。

関税率は”HSコード”という国際的な番号で管理されています。
日本国内では現在10,000程度の”HSコード”が設定されています。
“HSコード”を具体的に見たい方はこちら

●6:輸出入、何から始めたらいいの?

輸出でも、輸入でも、申請のために必須の書類はINVOICEと輸出(入)申告書です。
INVOICEとは、仕入書などとも呼ばれ、輸出(入)しようとする物品の内容や数、価格(関税に関わる価格)を記載したものです。この価額がCIF価格と異なる場合には、別途日本での輸送費や包装費など、関税の対象とならない項目を証明できる書類も添付します。
但し、価格が20万円以下の国際郵便物(EMSなどの日本郵便のサービスに限る)については、特別に輸出入申告が不要とされています。

実務的には、輸出入取引が決まったら、通関業者に後の手続を依頼する場合が多いかと思います。
通関業者は、通関士を登録している業者で、実際の税関での書類提出や税金の計算を、輸出入者自身に代わって代行してくれる会社です。倉庫業者・船会社・運送業者などが兼業している場合が多いです。
通関業者は、様々な規模の会社がありますが、「AEO」という税関のお墨付きのある業者の場合、輸出入業務に関して次のような優遇を受けることができます。
・輸入の場合、商品の到着前に輸入許可を受けることが可能
・輸出の場合、AEO業者の倉庫内で輸出許可を受けることが可能
・商品の置かれた場所に関わらず、どこの税関に対しても輸出入申告が可能

●7:輸出入 注意点は?

① 何を売る(買う)か?

まず、輸入の場合、経済産業省の輸入承認が必要な項目があります。
・ニシン、タラ、アジ、サバなど輸入割り当ての決まっているもの(外国産品の国内販売量制限規制)
・特定の地域を船積み地とする特定貨物(クジラ、マグロ、武器、原子力関連物など)
・その他毛皮、ダイヤモンド原石、水銀などについて制限があります。

次に、輸出の場合も、武器や兵器として使われる可能性のある工業機械などについて規制があります。
また輸入と同じく、特定の品目については経済産業省の事前承認が必要です。
詳しくは経済産業省のホームページへ

② 取引の証拠を残す

輸出入に使用した帳簿・手続書類については税関から保存義務が指定されています。
輸入の場合は帳簿7年、書類5年、輸出の場合、帳簿・書類とも5年です。
また消費税に関しては、国税庁から帳簿・書類とも7年の保存義務が指定されています。
税関・国税庁とも、輸出入を行った会社に対して事後調査を行う可能性があります。
この場合、実際に税関職員又は税務署職員が会社に訪問して書類を確認することになるため、
書類を紛失しないよう保管には十分注意が必要です。

●8:長くなりましたが

通関手続、全容を知るにはまだまだかかりますが、
全体の流れを知る良い機会となりました。
弊事務所では、今後も引続き輸出入に関するセミナーに参加予定です。