国税徴収法」タグアーカイブ

会社法23条の2(詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求)

条文

  • 第二十三条の二 譲渡会社が譲受会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って事業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、その譲受会社が事業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
  • 2 譲受会社が前項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、譲渡会社が残存債権者を害することを知って事業を譲渡したことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。事業の譲渡の効力が生じた日から十年を経過したときも、同様とする。
  • 3 譲渡会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、譲受会社に対して第一項の規定による請求をする権利を行使することができない。

会社法の解説

 2014年の会社法改正で「詐害的会社分割によって害される債権者の保護規定の新設」と同時に設定された規定です。会社法759条4項(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)や会社法761条4項(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)にも同様の規定が創設されています。

 詐害的な事業譲渡が行われたときに、譲渡会社に対する残存債権者は、承継した財産を限度に譲受会社も債務の履行を請求できることとされています。(本条1項)

 この規定は、詐害行為を知ってから2年以内に請求などを行わないと消滅します。あた、事業譲渡から10年経過時にも消滅します。(本条2項)

税法の解説

 国税徴収法では、詐害の意図の有無にかかわらず特殊関係者に対する譲渡等である場合には、第二次納税義務が課されています(国税徴収法38条、39条)。

 国税徴収法の規定で徴収が難しい場合には、国税通則法42条(債権者代位権及び詐害行為取消権)の利用を検討することとされています(第二次納税義務関係事務運営指針「106詐害行為取消権と徴収法第39条との関係」)。

 国税通則法42条では、「民法第三編第一章第二節第二款(債権者代位権)及び第三款(詐害行為取消権)の規定は、国税の徴収に関して準用する。」されており、民法の規定を参照していますが、通達において会社法の規定(通達内では会社の新設分割(会社法第762条参照))も対象となりうるとされています(国税通則法基本通達4(財産権を目的とする行為)。

参考:第二次納税義務関係事務運営指針(詐害行為取消権と徴収法第39条との関係)
106 滞納者が無償譲渡等の処分をしている場合には、原則として、まず徴収法第39条の規定の適用の可否につき検討し、同条の適用がない場合には、詐害行為取消権(通則法42条)の行使の可否について検討するものとする。
 なお、受益者から徴収できるのは第二次納税義務の限度か又は詐害行為取消により徴収できる範囲に限られることに留意する。

未解決の疑問

この条文を見るの人は詐害行為をされた側だと思いますが。

  • 1.債権者は一人ひとり詐害行為だと訴えて訴訟?しなければならないのか
  • 2.税務署も?
  • 3.同じ詐害行為なら租税が優先されるのだろうか?

後日解決スべき疑問として。

(2024/11/20初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第20条(代理商の留置権)

条文

  • 第二十条 代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、会社のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。

会社法の解説

 代理商のその会社に対する留置権の条文です。商法31条の商人の代理商についても同様の規定があります。

 民法295条の留置権では、「その物に関して生じた債権を有するとき」はその債権につきその物を留置できるとされており、個別の関連性が要求されることになります。しかし、代理商の留置権では個別の関連性は要求されません。これは商法521条の商人間の留置権と同様です。

 また、商法521条の商人間の留置権については「債務者の所有する物又は有価証券」に限定されていますが、代理商の留意権は、留置の目的物は、会社の目的物が第三者に移転しているものについても認められます。

 イメージとしては、代理商が会社から借りたiPadについて、会社が代金を代理商に払わない場合には、これを留置できる。というところでしょうか。

税法の解説

 留置権は国税よりも優先して支払いに充てられます(下記国税徴収法21条)。上記のiPadについて会社が滞納処分でiPadを換価処分されたとしても、まずは代理商に換価代金は支払われ、その後に国税に充てられることになります。

参考:国税徴収法(留置権の優先)
第二十一条 留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、その国税は、その換価代金につき、その留置権により担保されていた債権に次いで徴収する。この場合において、その債権は、質権、抵当権、先取特権又は第二十三条第一項(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先)に規定する担保のための仮登記により担保される債権に先立つて配当するものとする。
2 前項の規定は、その留置権者が、滞納処分の手続において、その行政機関等に対し、その留置権がある事実を証明した場合に限り適用する。

(2024/11/13初回 令和6年5月22日 施行)