条文
- 第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
- 一 目的
- 二 商号
- 三 本店の所在地
- 四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
- 五 発起人の氏名又は名称及び住所
会社法の解説
定款の記載事項には、絶対的記載事項、相対的記載事項及び任意的記載事項の3種類があり、本条は絶対的記載事項です。本条の事項は会社法30条1項の公証人の認証を受けるときの定款に記載されている必要があります。
また、発行可能株式総数については、公証人の認証を受けるときには必須ではありませんが絶対的記載事項です。発行可能株式総数については、会社成立までの間に記載し変更することができます(会社法37条)。
旧有限会社については、
株式会社の定款 =旧有限会社の定款
一 目的 =有限会社法6条1項1号の「目的」
二 商号 =有限会社法6条1項2号の「商号」
三 本店の所在地 =有限会社法6条1項7号の「本店ノ所在地」
それぞれとみなすこととされています。(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律2条、5条)
以下は各号について言及します。
第一号:目的
民法34条において「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。」とされています。
判例(最判昭和27年2月15日等)は取引安全の見地から目的の範囲を広く捉えてきたようですが、そもそもこの民法34条を会社法に適用するのか否か等様々な議論があるようです。
しかしながら、2006年の会社法改正により、「類似商号に関する登記制限(商法19条,商業登記法27条)を廃止すること」とされ、曖昧な目的も許容されるようになっています。その結果定款の目的には「これに付帯する一切の事業」という記載が多くの会社に入るなど。実質的には目的外の行為について考慮する必要性が薄まっているようです。
株主(会社法360条)、監査役(会社法385条)、監査委員(会社法407条)は取締役の目的外の行為については差し止める権利が定められています。また、取締役等が「株式会社の目的の範囲外において、投機取引のために株式会社の財産を処分したとき」には、「五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」こととされています(会社法963条5項3号)。
第二号:商号
現在は同一商号・同一住所の場合にはその登記は許されないこととされています(商業登記法27条)。各論は第2章会社の商号(6-9条)へ
第三号:本店の所在地
会社法4条(住所)へ
第四号:設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
設立時までの最低限の出資額を記載する必要があります。つまり、出資を履行しない者がいても、最低限の出資額を満たしていれば設立を行うことができます。
第五号:発起人の氏名又は名称及び住所
発起人特定のため、氏名又は名称及び住所が必要です。
参考リンク:
・法務省:株式会社の設立手続(発起設立)について
参考 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
第二条 (略)
2 前項の場合においては、旧有限会社の定款、社員、持分及び出資一口を、それぞれ同項の規定により存続する株式会社の定款、株主、株式及び一株とみなす。
(定款の記載等に関する経過措置)
第五条 旧有限会社の定款における旧有限会社法第六条第一項第一号、第二号及び第七号に掲げる事項の記載又は記録はそれぞれ第二条第一項の規定により存続する株式会社の定款における会社法第二十七条第一号から第三号までに掲げる事項の記載又は記録とみなし、旧有限会社の定款における旧有限会社法第六条第一項第三号から第六号までに掲げる事項の記載又は記録は第二条第一項の規定により存続する株式会社の定款に記載又は記録がないものとみなす。
参考 有限会社法
第六条 定款ニハ左ノ事項ヲ記載又ハ記録スルコトヲ要ス
一 目的
二 商号
三 資本ノ総額
四 出資一口ノ金額
五 社員ノ氏名及住所
六 各社員ノ出資ノ口数
七 本店ノ所在地
税法の解説
消費税法においては設立時の資本金の額は重要です。
通常設立から2事業年度は、消費税の納税義務が免除されます。しかし、「事業年度開始の日における」資本金の額が1000万円以上である場合には、その事業年度については消費税の納税義務が免除されないこととなります(消費税法12条の2)。
2023年4月以降に適用可能な「エンジェル税制-起業型」は、発起人でないと受けられない税制です(租税特別措置法37条の13の2等)。時限的な措置ですが、極稀に発起人の身分が関係する税制も存在します。
(2024/12/10初回 令和6年5月22日 施行)