第4章 事業の譲渡をした場合の競業の禁止等(21-24条)」カテゴリーアーカイブ

会社法24条(商人との間での事業の譲渡又は譲受け)

条文

  • 第二十四条 会社が商人に対してその事業を譲渡した場合には、当該会社を商法第十六条第一項に規定する譲渡人とみなして、同法第十七条から第十八条の二までの規定を適用する。この場合において、同条第三項中「又は再生手続開始の決定」とあるのは、「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とする。
  • 2 会社が商人の営業を譲り受けた場合には、当該商人を譲渡会社とみなして、前三条の規定を適用する。この場合において、前条第三項中「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とあるのは、「又は再生手続開始の決定」とする。

参考 商法(営業譲渡人の競業の禁止)
第十六条 営業を譲渡した商人(以下この章において「譲渡人」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から二十年間は、同一の営業を行ってはならない。
2~3 (略)

第十七条(譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
第十八条(譲受人による債務の引受け)
第十八条の二(詐害営業譲渡に係る譲受人に対する債務の履行の請求)

会社法の解説

 商法17条から18条の2は、会社法22条から23条の2に対応します。
 会社法は会社間、商法は商人間の適用を想定しているため、本条文で会社から商人に事業を譲り渡した場合には、譲り渡した会社を商法の譲渡人とみなして商法の規定を適用することとしています(本条1項)。また、商人から会社営業にを譲り渡した場合には、譲り渡した商人を、譲渡会社とみなして、会社法の規定を適用することとしています(本条2項)。

税法の解説

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(2024/11/28初回 令和6年5月22日 施行)

会社法23条の2(詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求)

条文

  • 第二十三条の二 譲渡会社が譲受会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って事業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、その譲受会社が事業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
  • 2 譲受会社が前項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、譲渡会社が残存債権者を害することを知って事業を譲渡したことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。事業の譲渡の効力が生じた日から十年を経過したときも、同様とする。
  • 3 譲渡会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、譲受会社に対して第一項の規定による請求をする権利を行使することができない。

会社法の解説

 2014年の会社法改正で「詐害的会社分割によって害される債権者の保護規定の新設」と同時に設定された規定です。会社法759条4項(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)や会社法761条4項(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)にも同様の規定が創設されています。

 詐害的な事業譲渡が行われたときに、譲渡会社に対する残存債権者は、承継した財産を限度に譲受会社も債務の履行を請求できることとされています。(本条1項)

 この規定は、詐害行為を知ってから2年以内に請求などを行わないと消滅します。あた、事業譲渡から10年経過時にも消滅します。(本条2項)

税法の解説

 国税徴収法では、詐害の意図の有無にかかわらず特殊関係者に対する譲渡等である場合には、第二次納税義務が課されています(国税徴収法38条、39条)。

 国税徴収法の規定で徴収が難しい場合には、国税通則法42条(債権者代位権及び詐害行為取消権)の利用を検討することとされています(第二次納税義務関係事務運営指針「106詐害行為取消権と徴収法第39条との関係」)。

 国税通則法42条では、「民法第三編第一章第二節第二款(債権者代位権)及び第三款(詐害行為取消権)の規定は、国税の徴収に関して準用する。」されており、民法の規定を参照していますが、通達において会社法の規定(通達内では会社の新設分割(会社法第762条参照))も対象となりうるとされています(国税通則法基本通達4(財産権を目的とする行為)。

参考:第二次納税義務関係事務運営指針(詐害行為取消権と徴収法第39条との関係)
106 滞納者が無償譲渡等の処分をしている場合には、原則として、まず徴収法第39条の規定の適用の可否につき検討し、同条の適用がない場合には、詐害行為取消権(通則法42条)の行使の可否について検討するものとする。
 なお、受益者から徴収できるのは第二次納税義務の限度か又は詐害行為取消により徴収できる範囲に限られることに留意する。

未解決の疑問

この条文を見るの人は詐害行為をされた側だと思いますが。

  • 1.債権者は一人ひとり詐害行為だと訴えて訴訟?しなければならないのか
  • 2.税務署も?
  • 3.同じ詐害行為なら租税が優先されるのだろうか?

後日解決スべき疑問として。

(2024/11/20初回 令和6年5月22日 施行)

会社法23条(譲受会社による債務の引受け)

条文

  • 第二十三条 譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者は、その譲受会社に対して弁済の請求をすることができる。
  • 2 譲受会社が前項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、同項の広告があった日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

会社法の解説

 22条は商号を継続して使用する場合の規定でしたが、本条では譲受会社が広告を行うことで、譲受会社が譲渡会社の債務を弁済する責任が生じます。

 また広告があった日から2年経過すると、譲渡会社に対して請求などされなかったものについては、譲渡会社の責任は消滅します。

税法の解説

 消費税において、債務を引き受けた金額は、譲渡対価と支払う金銭に加え、譲渡対価として扱われることになります。(質疑応答事例「営業の譲渡をした場合の対価の額」

(2024/11/20初回 令和6年5月22日 施行)

会社法22条(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)

条文

  • 第二十二条 事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
  • 2 前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
  • 3 譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
  • 4 第一項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

会社法の解説

 事業を譲り受けた場合に、商号を引き続き使用する場合に限っては、譲渡会社の事業による債務を弁済する責任を負うことになります。

 また2項では、「譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記」=免責の登記(商業登記法31条)を行うことで、上記義務は適用されないこととなります。この登記には譲渡会社の承諾書の添付が必要で、譲受会社の登記簿に記載されます。また登記せずとも、債権者に通知をすれば、その債権者については1項の適用を受けません。

 譲渡会社については、1項により債務を引き継いでもらっていれば、2年で債務の弁済義務が消滅します。

税法の解説

 趣旨は異なりますが、(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)が国税徴収法38条に定められています。事業を特殊関係者に譲渡した場合で、「同一又は類似の事業を営んでいる場合」には、「譲受財産の価額の限度において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う」こととされています。

 「その譲渡が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。」ともされており、あくまでも納税逃れのための事業譲渡について、補足する趣旨であると思われます。

(2024/11/19初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第21条(譲渡会社の競業の禁止)

条文

  • 第二十一条 事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。
  • 2 譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
  • 3 前二項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。

会社法の解説

 事業を譲渡した会社は、譲り受けた会社の客を奪うようなことになってはいけないので、20年間は隣接市区町村の中では同一の事業を行うことができません。また、特約によって競業禁止の範囲を変えたとしても、その期限は30年を超えることはできません。3項では特約によっても、不正の競争の目的をもって同一の事業を行うことはできないとされています。

 場所の問題については、今ではインターネット上での商売が一般的であり、特約などによって条件をきちんと定めておくことが需要そうです。

 事業譲渡については、特別決議が必要な会社法467条1項1-2号の事業譲渡の範囲と同じものと理解されているようです。

税法の解説

 事業譲渡は組織再編税制の対象になっていません。

 消費税も個々の資産の譲渡対価に区分し、計算をする必要があります(質疑応答「営業の譲渡をした場合の対価の額」)。土地や有価証券等の消費税法上「非課税」とされる資産が含まれている場合には、課税売上割合等の変化に注意が必要です。

(2024/11/14初回 令和6年5月22日 施行)