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会社法31条(定款の備置き及び閲覧等)

条文

  • (定款の備置き及び閲覧等)
  • 第三十一条 発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)に備え置かなければならない。
  • 2 発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
    • 一 定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
    • 二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
    • 三 定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
    • 四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
  • 3 株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員(親会社の株主その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは、当該親会社社員は、裁判所の許可を得て、当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
  • 4 定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における第二項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている株式会社についての第一項の規定の適用については、同項中「本店及び支店」とあるのは、「本店」とする。
  • 参考:会社法施行規則(電磁的記録の備置きに関する特則)
  • 第二百二十七条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定めるものは、会社の使用に係る電子計算機を電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて会社の支店において使用される電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録するものによる措置とする。
    • 一 法第三十一条第四項
    • 二~三 (略)

会社法の解説

 定款は本店及び支店に据え置き、設立前であれば発起人、設立後であれば株主及び債権者は閲覧やコピーの請求をすることができます。(1項、2項)。

 また親会社の株主などについても、裁判所の許可を前提に、2項の請求を行うことができます(3項)。

 「正当な理由がないのに、書類若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧若しくは謄写又は書類の謄本若しくは抄本の交付、電磁的記録に記録された事項を電磁的方法により提供すること若しくはその事項を記載した書面の交付を拒んだとき」については「百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない」とされています(会社法976条1項4号)。

税法の解説

 税法において定款を保存する義務などは規定されていないようです。事業年度(法人税法13条)など、定款を参照しないと決定できないものもあるため、保存義務はなくとも税務上ももちろん必要な書類になります。

(2024/12/26初回 令和6年5月22日 施行)

会社法30条(定款の認証)

条文

  • (定款の認証)
  • 第三十条 第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
  • 2 前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第三十三条第七項若しくは第九項又は第三十七条第一項若しくは第二項の規定による場合を除き、これを変更することができない。

会社法の解説

 株式会社の設立時には公証人の認証が必須です。また認証後は設立までは変更できないこととされています。
 変更できる場合は、検査役の報告を受けた裁判所が、28条(変態設立事項)につき不当と認め、変更を決定したた場合です(会社法33条7項、9項)。また発行可能株式総数についても変更が認められています(会社法37条1項、2項)

税法の解説

 特にありません。

(2024/12/26初回 令和6年5月22日 施行)

会社法29条

条文

  • 第二十九条 第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。

会社法の解説

 日本公証人連合会のWEBによれば下記のようなものがあります。
日本公証人連合会:Q2. 株式会社の定款の記載事項について、どのようなものがありますか。

  • (1)株式について
    • 株主名簿の基準日(会社法124条)
    • 株主名簿の名義書換手続(会社法133条、134条)
    • 株券の再発行手続(会社法228条2項)
  • (2)株主総会について
    • 定時株主総会の招集時期(会社法296条1項)
    • 株主総会の議長(会社法315条)
    • 議決権の代理行使(会社法310条)
  • (3)株主総会以外の機関について
    • 取締役(会社法326条1項、331条4項)、監査役、執行役(会社法402条1項)の員数
    • 代表取締役(会社法349条3項)、役付取締役(会長、社長、副社長、専務取締役、常務取締役等)
    • 取締役会の招集権者(会社法366条1項)
  • (4)計算について
    • 事業年度(会社法296条1項、会社計算規則59条2項)
  • (5)公告について
    • 公告の方法(会社法939条1項)

税法の解説

 法人の設立後2ヶ月以内に定款を設立届出とともに、税務署や都道府県、市区町村に提出することになります(法人税法148条1項、法人税施行規則63条)。発起人や事業年度は履歴事項全部証明書からは読み取れず、定款で確認が行われています。
 各論点はそれぞれの項目でまた。

(2024/12/26初回 令和6年5月22日 施行)

会社法28条

条文

  • 第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
    • 一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
    • 二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
    • 三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
    • 四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

会社法の解説

 変態設立事項です。発起人が作成した当初の定款に記載する必要があるだけでなく、さらに発起人の乱用を防ぐため、裁判所が選任する検査役の調査が必要です(会社法33条)。また設立時取締役と設立時監査役によっても調査されることになります(会社法46条)。

 1号現物出資
 現物出資のことをいう。ここでいう「その価額」は調査などで不当でないか調査されます。これとは別に、会計上計算する金額(会社法445条)については、「現物出資財産の給付があった日における価額」をいう(会社計算規則43条1項2号)、とされています。
 ただし、共通支配下関係となる場合等には、「現物出資財産の当該給付をした者における当該給付の直前の帳簿価額」となります(会社計算規則43条1項2号イ、ハ)。
 定款に記載されている価額と、貸借対照表に計上される金額が異なることがあることについては注意が必要です。

 2号財産引受け
 発起人が設立後の会社のために、第三者から財産を購入する契約を結ぶことができます。これを財産引受といいます。

 3号発起人の報酬等
 発起人が会社設立の報酬をもらうためにも、定款への記載が必要です。
 設立に要した費用の額については、資本金又は資本準備金から控除することも可能です(会社計算規則43条1項3号)。ただし、通常会計上は創立費として、支出時に費用として処理するか、繰延資産として計上することになります(実務対応報告第19号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い3(3))。

 4号設立費用
 定款には設立費用については「当会社の設立費用は◯万円以内とする」等と総額を記載すればよいようです(会社法コンメンタール1 P319)。
 会社計算規則において、定款への印紙、銀行手数料、検査役報酬、登録免許税は除くものとされています(司法書士報酬は入っていないですね・・・)。

参考:会社法施行規則

  • (設立費用)
  • 第五条 法第二十八条第四号に規定する法務省令で定めるものは、次に掲げるものとする。
    • 一 定款に係る印紙税
    • 二 設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みの取扱いをした銀行等に支払うべき手数料及び報酬
    • 三 法第三十三条第三項の規定により決定された検査役の報酬
    • 四 株式会社の設立の登記の登録免許税

参考:会社計算規則 (株式会社の設立時の株主資本)

  • 第二条 3 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
    • 三十六 共通支配下関係 二以上の者(人格のないものを含む。以下この号において同じ。)が同一の者に支配(一時的な支配を除く。以下この号において同じ。)をされている場合又は二以上の者のうちの一の者が他の全ての者を支配している場合における当該二以上の者に係る関係をいう。
  • 第四十三条 法第二十五条第一項各号に掲げる方法により株式会社を設立する場合における株式会社の設立時に行う株式の発行に係る法第四百四十五条第一項に規定する株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とは、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)とする。
    • 一 (略)
    • 二 法第三十四条第一項の規定により金銭以外の財産(以下この条において「現物出資財産」という。)の給付を受けた場合にあっては、当該現物出資財産の給付があった日における価額(次のイ又はロに掲げる場合における現物出資財産にあっては、当該イ又はロに定める額)
      • イ 当該株式会社と当該現物出資財産の給付をした者が共通支配下関係となる場合(当該現物出資財産に時価を付すべき場合を除く。)当該現物出資財産の当該給付をした者における当該給付の直前の帳簿価額
      • ロ イに掲げる場合以外の場合であって、当該給付を受けた現物出資財産の価額により資本金又は資本準備金の額として計上すべき額を計算することが適切でないときイに定める帳簿価額
    • 三 法第三十二条第一項第三号に掲げる事項として、設立に要した費用の額のうち設立に際して資本金又は資本準備金の額として計上すべき額から減ずるべき額と定めた額
  • 2~4 (略)
  • 5 第一項第二号の規定の適用については、現物出資財産について定款に定めた額と、当該現物出資財産の帳簿価額(当該出資に係る資本金及び資本準備金の額を含む。)とが同一の額でなければならないと解してはならない。

税法の解説

 本条は法人の設立前の行為について記載されています。設立前の行為は「設立中の法人」という人格のない社団によってなされ、設立後の法人に内容が引き継がれていると税法でも考えているように見受けられます。

 1号現物出資
 法人が現物出資をした場合には、法人税においてはその物の時価により譲渡したものとして計算します。また現物出資によって取得した株式の取得価額は、その時価によります(法人税法施行令119条1項3号)。ただし適格現物出資(法人税法2条1項12の14)に該当する場合には簿価により譲渡したものとされ、課税は生じません。
 個人が現物出資した場合には、所得税においてはそのものの時価ではなく、「現物出資により取得した株式」の時価を収入金額として計算することになります(タックスアンサー「No.3117 不動産を法人に現物出資したとき」)。
 消費税法においても、現物出資は資産の譲渡等とされます(消費税法施行令2条1項2号)。当該出資により取得する株式の取得の時における価額(消費税法施行令45条2項3号)により譲渡したものとして、対価の額を計算することになります。(こちらも参考:質疑応答事例「現物出資の場合の課税標準」
 この逆で現物出資は受けいれた法人は、設立後最初の課税期間において仕入税額控除を受けられることとなります(消費税基本通達9-6-1参照)。

 2号財産引受け
 特に税務上の注意点はありません。

 3号発起人の報酬等
 発起人が受ける報酬は、法人設立中の法人(人格なき社団等)からの給与所得とされています(質疑応答:会社設立発起人が受ける報酬の所得区分)。

 4号設立費用
 設立費用については、繰延資産の創立費として計上し、償却を行っていくことになります(法人税法施行令14条)。また「法人がその設立のために通常必要と認められる費用」については、本条文に従わず定款に記載していない場合でも創立費として扱うことが可能です(法人税法32条、法人税法基本通達8-1-1)。

 司法書士費用等を法人設立中に支払う場合にも設立中の法人(人格なき社団等)として、源泉徴収は必要とされるものと考えられます。法人税や消費税と異なり、源泉所得税は、設立後でよいという規定はないようですので、設立前であっても支払いの翌月10日までの納付が必要と考えられます(所得税法205条)。
 もう少しいうと、定款ができるまでは「発起人組合」として、発起人自体の源泉徴収の義務判断。定款ができた後は「設立中の法人」として源泉義務が生じるのでしょうね。

 消費税については、設立前の費用について最初の課税期間において、仕入税額控除を受けることが可能です(消費税基本通達9-6-1)。

参考:法人税法施行令

  • (繰延資産の範囲)
  • 第十四条 法第二条第二十四号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
    • 一 創立費(発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税その他法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきものをいう。)

  • 第百十九条 内国法人が有価証券の取得をした場合には、その取得価額は、次の各号に掲げる有価証券の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
    • 一 (略)
    • 二 金銭の払込み又は金銭以外の資産の給付により取得をした有価証券(第4号又は第20号に掲げる有価証券に該当するもの及び適格現物出資により取得をしたものを除く。) その払込みをした金銭の額及び給付をした金銭以外の資産の価額の合計額(新株予約権の行使により取得をした有価証券にあつては当該新株予約権の当該行使の直前の帳簿価額を含み、その払込み又は給付による取得のために要した費用がある場合にはその費用の額を加算した金額とする。)

(2024/12/18初回 令和6年5月22日 施行)

会社法27条(定款の記載又は記録事項)

条文

  • 第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
    • 一 目的
    • 二 商号
    • 三 本店の所在地
    • 四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
    • 五 発起人の氏名又は名称及び住所

会社法の解説

 定款の記載事項には、絶対的記載事項、相対的記載事項及び任意的記載事項の3種類があり、本条は絶対的記載事項です。本条の事項は会社法30条1項の公証人の認証を受けるときの定款に記載されている必要があります。
 また、発行可能株式総数については、公証人の認証を受けるときには必須ではありませんが絶対的記載事項です。発行可能株式総数については、会社成立までの間に記載し変更することができます(会社法37条)。

 旧有限会社については、
株式会社の定款 =旧有限会社の定款
一 目的 =有限会社法6条1項1号の「目的」
二 商号 =有限会社法6条1項2号の「商号」
三 本店の所在地 =有限会社法6条1項7号の「本店ノ所在地」
それぞれとみなすこととされています。(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律2条、5条)

 以下は各号について言及します。

 第一号:目的
 民法34条において「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。」とされています。
 判例(最判昭和27年2月15日等)は取引安全の見地から目的の範囲を広く捉えてきたようですが、そもそもこの民法34条を会社法に適用するのか否か等様々な議論があるようです。
 しかしながら、2006年の会社法改正により、「類似商号に関する登記制限(商法19条,商業登記法27条)を廃止すること」とされ、曖昧な目的も許容されるようになっています。その結果定款の目的には「これに付帯する一切の事業」という記載が多くの会社に入るなど。実質的には目的外の行為について考慮する必要性が薄まっているようです。

 株主(会社法360条)、監査役(会社法385条)、監査委員(会社法407条)は取締役の目的外の行為については差し止める権利が定められています。また、取締役等が「株式会社の目的の範囲外において、投機取引のために株式会社の財産を処分したとき」には、「五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」こととされています(会社法963条5項3号)。

 第二号:商号
 現在は同一商号・同一住所の場合にはその登記は許されないこととされています(商業登記法27条)。各論は第2章会社の商号(6-9条)

 第三号:本店の所在地
 会社法4条(住所)

 第四号:設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
 設立時までの最低限の出資額を記載する必要があります。つまり、出資を履行しない者がいても、最低限の出資額を満たしていれば設立を行うことができます。

 第五号:発起人の氏名又は名称及び住所
 発起人特定のため、氏名又は名称及び住所が必要です。

参考リンク:
法務省:株式会社の設立手続(発起設立)について

参考 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
第二条 (略)
2 前項の場合においては、旧有限会社の定款、社員、持分及び出資一口を、それぞれ同項の規定により存続する株式会社の定款、株主、株式及び一株とみなす。
(定款の記載等に関する経過措置)
第五条 旧有限会社の定款における旧有限会社法第六条第一項第一号、第二号及び第七号に掲げる事項の記載又は記録はそれぞれ第二条第一項の規定により存続する株式会社の定款における会社法第二十七条第一号から第三号までに掲げる事項の記載又は記録とみなし、旧有限会社の定款における旧有限会社法第六条第一項第三号から第六号までに掲げる事項の記載又は記録は第二条第一項の規定により存続する株式会社の定款に記載又は記録がないものとみなす。

参考 有限会社法
第六条 定款ニハ左ノ事項ヲ記載又ハ記録スルコトヲ要ス
 一 目的
 二 商号
 三 資本ノ総額
 四 出資一口ノ金額
 五 社員ノ氏名及住所
 六 各社員ノ出資ノ口数
 七 本店ノ所在地

税法の解説

 消費税法においては設立時の資本金の額は重要です。
 通常設立から2事業年度は、消費税の納税義務が免除されます。しかし、「事業年度開始の日における」資本金の額が1000万円以上である場合には、その事業年度については消費税の納税義務が免除されないこととなります(消費税法12条の2)。

 2023年4月以降に適用可能な「エンジェル税制-起業型」は、発起人でないと受けられない税制です(租税特別措置法37条の13の2等)。時限的な措置ですが、極稀に発起人の身分が関係する税制も存在します。

(2024/12/10初回 令和6年5月22日 施行)

会社法26条(定款の作成)

条文

  • 第二十六条 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
  • 2 前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
  • 参考:会社法施行規則(電子署名)
  • 第二百二十五条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。
    • 一 法第二十六条第二項
    • 二~十二 (略)
  • 2 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
    • 一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
    • 二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

参考:電磁的記録の方式等を定める件

会社法の解説

 この規定から、発起人は定款に「署名し、又は記名押印」したもの(1項)、あるいは、電磁的記録について「署名又は記名押印に代わる措置」をとるもの(2項)を言うことになります。

 発起人の論点については、会社法25条を参照。

税法の解説

 発起人の論点については、会社法25条を参照。

(2024/12/5初回 令和6年5月22日 施行)

会社法25条

条文

  • 第二十五条 株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
    • 一 次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
    • 二 次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
  • 2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

参考
(1項1号発起設立)
第二節 定款の作成
第三節 出資
第四節 設立時役員等の選任及び解任
第五節 設立時取締役等による調査
第六節 設立時代表取締役等の選定等
第七節 株式会社の成立
第八節 発起人等の責任等

(1項2号募集設立)
第二節 定款の作成
第三節 出資
第三十九条(設立時役員等の選任)
第六節 設立時代表取締役等の選定等
第七節 株式会社の成立
第八節 発起人等の責任等
第九節 募集による設立

会社法の解説

 会社の設立は、発起設立(1項1号)と募集設立(1項2号)があります。
 司法書士に確認したところ、発起設立が一般的な株式会社設立の方法であり、募集設立はほとんど行われない設立の方法のようです。税理士としても募集設立は実務上ほとんど見かけません。
 2006年会社法改正時には、募集設立は廃止の議論もあったようです(会社法制の現代化に関する要綱試案)。しかし「設立時に多くの出資者がいる場合には募集設立は有用であり、特に外国法人を出資者とする場合には、発起設立は必要書類(印鑑証明書に代わる署名証明書)を揃えるのに時間がかかり、発起人とすることが困難である。募集設立を存置しても考えられる弊害は小さい(日本経団連「会社法制の現代化に関する要綱試案」についての意見)」という意見もあり、最終的には募集設立は存置されています。

 発起人には資格制限は特にありません。未成年者(民法5条)、成年被後見人(民法9条)、被保佐人(民法13条)、被補助人(民法17条)などの制限能力者も、発起人になることができます。ただし、実務上は法定代理人等の同意が必要となる場合があります。また、会社も発起人になることができます。

 会社が設立前の状態については、発起人組合という状態と、設立中の会社という状態が考えられているそうです。具体的にどの行為が、どちらに帰属するのか、双方に帰属するかなどについては様々な議論があるようで、このブログでは言及を避けます。

 発起人が複数いる場合には、「会社の設立を共同して行う旨の合意が相互になされ、会社設立を目的とする民法上の組合契約(民法667条)が締結されたものと解されている(大判大正7年7月10日民録24集1480頁)。このことを踏まえて発起人組合という団体が観念され」ることなっているようです(逐条解説会社法第1巻総則・設立第1版6刷P229)。

 「設立中の会社」という概念も用いられています。「株式会社については、その設立登記前に「登記中の会社」という会社成立を目的とする「権利能力なき社団」が成立しており、成立中の会社と成立後の会社とは同一の存在であるから(同一性説)、設立中の会社のすべての関係が設立後の会社に帰属する」(会社法コンメンタール1総則・設立(1)初版第5刷P266)。

参考:
・法務省:会社法制の現代化に関する要綱試案
・日本経団連:「会社法制の現代化に関する要綱試案」についての意見)

税法の解説

 税法では、設立準備の状態は、上記「設立中の会社」という考え方を採用しているように思います。

 法人の成立前に発起人が支出した費用については、法人税法では創立費という費用として、会計上の処理を前提として損金算入を認めています(法人税法2条1項24号、法人税法32条、法人税法施行令14条1項1,2号)。

 消費税法では、設立準備費用は設立後最初の課税期間に処理することとができることとされています(消費税法基本通達9-6-1)。ただし、消費税法においては設立期間が通常に比べ長期にわたる場合や、個人事業を引き継いで設立した場合の「当該個人事業者が行った」ものについては、この限りではないものとされ、本来の課税仕入れの時期での処理となるものと思われます。
 設立期間が長期に渡る場合は、発起人単独ないし「発起人組合」や「権利なき社団」として申告することになると考えられます(三村の見解)。
 個人事業の法人成りについては、設立中の法人のものと、個人事業のものを区分することが求められることになります。

法人税法施行令
(繰延資産の範囲)
第十四条 法第二条第二十四号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
一 創立費(発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税その他法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきものをいう。)
(以降略)

法人税法基本通達
(定款記載を欠く設立費用)
8-1-1 法人がその設立のために通常必要と認められる費用を支出した場合において、当該費用を当該法人の負担とすべきことがその定款等で定められていないときであっても、当該費用は令第14条第1項第1号《創立費》に規定する「法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきもの」に該当するものとする。(昭55年直法2-8「二十八」により追加、平19年課法2-17「十六」により改正)

消費税法基本通達
(法人の設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れの帰属)
9-6-1 法人の設立期間中に当該設立中の法人が行った資産の譲渡等及び課税仕入れは、当該法人のその設立後最初の課税期間における資産の譲渡等及び課税仕入れとすることができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れ又は当該法人が個人事業を引継いで設立されたものである場合における当該個人事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れについては、この限りでない。
(注) 本文の取扱いによる場合であっても、当該法人の設立後最初の課税期間の開始の日は、当該法人の設立の日となるのであるから留意する。

(2024/12/4初回 令和6年5月22日 施行)

会社法24条(商人との間での事業の譲渡又は譲受け)

条文

  • 第二十四条 会社が商人に対してその事業を譲渡した場合には、当該会社を商法第十六条第一項に規定する譲渡人とみなして、同法第十七条から第十八条の二までの規定を適用する。この場合において、同条第三項中「又は再生手続開始の決定」とあるのは、「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とする。
  • 2 会社が商人の営業を譲り受けた場合には、当該商人を譲渡会社とみなして、前三条の規定を適用する。この場合において、前条第三項中「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とあるのは、「又は再生手続開始の決定」とする。

参考 商法(営業譲渡人の競業の禁止)
第十六条 営業を譲渡した商人(以下この章において「譲渡人」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から二十年間は、同一の営業を行ってはならない。
2~3 (略)

第十七条(譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
第十八条(譲受人による債務の引受け)
第十八条の二(詐害営業譲渡に係る譲受人に対する債務の履行の請求)

会社法の解説

 商法17条から18条の2は、会社法22条から23条の2に対応します。
 会社法は会社間、商法は商人間の適用を想定しているため、本条文で会社から商人に事業を譲り渡した場合には、譲り渡した会社を商法の譲渡人とみなして商法の規定を適用することとしています(本条1項)。また、商人から会社営業にを譲り渡した場合には、譲り渡した商人を、譲渡会社とみなして、会社法の規定を適用することとしています(本条2項)。

税法の解説

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(2024/11/28初回 令和6年5月22日 施行)

会社法23条の2(詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求)

条文

  • 第二十三条の二 譲渡会社が譲受会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って事業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、その譲受会社が事業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
  • 2 譲受会社が前項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、譲渡会社が残存債権者を害することを知って事業を譲渡したことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。事業の譲渡の効力が生じた日から十年を経過したときも、同様とする。
  • 3 譲渡会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、譲受会社に対して第一項の規定による請求をする権利を行使することができない。

会社法の解説

 2014年の会社法改正で「詐害的会社分割によって害される債権者の保護規定の新設」と同時に設定された規定です。会社法759条4項(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)や会社法761条4項(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)にも同様の規定が創設されています。

 詐害的な事業譲渡が行われたときに、譲渡会社に対する残存債権者は、承継した財産を限度に譲受会社も債務の履行を請求できることとされています。(本条1項)

 この規定は、詐害行為を知ってから2年以内に請求などを行わないと消滅します。あた、事業譲渡から10年経過時にも消滅します。(本条2項)

税法の解説

 国税徴収法では、詐害の意図の有無にかかわらず特殊関係者に対する譲渡等である場合には、第二次納税義務が課されています(国税徴収法38条、39条)。

 国税徴収法の規定で徴収が難しい場合には、国税通則法42条(債権者代位権及び詐害行為取消権)の利用を検討することとされています(第二次納税義務関係事務運営指針「106詐害行為取消権と徴収法第39条との関係」)。

 国税通則法42条では、「民法第三編第一章第二節第二款(債権者代位権)及び第三款(詐害行為取消権)の規定は、国税の徴収に関して準用する。」されており、民法の規定を参照していますが、通達において会社法の規定(通達内では会社の新設分割(会社法第762条参照))も対象となりうるとされています(国税通則法基本通達4(財産権を目的とする行為)。

参考:第二次納税義務関係事務運営指針(詐害行為取消権と徴収法第39条との関係)
106 滞納者が無償譲渡等の処分をしている場合には、原則として、まず徴収法第39条の規定の適用の可否につき検討し、同条の適用がない場合には、詐害行為取消権(通則法42条)の行使の可否について検討するものとする。
 なお、受益者から徴収できるのは第二次納税義務の限度か又は詐害行為取消により徴収できる範囲に限られることに留意する。

未解決の疑問

この条文を見るの人は詐害行為をされた側だと思いますが。

  • 1.債権者は一人ひとり詐害行為だと訴えて訴訟?しなければならないのか
  • 2.税務署も?
  • 3.同じ詐害行為なら租税が優先されるのだろうか?

後日解決スべき疑問として。

(2024/11/20初回 令和6年5月22日 施行)

会社法23条(譲受会社による債務の引受け)

条文

  • 第二十三条 譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者は、その譲受会社に対して弁済の請求をすることができる。
  • 2 譲受会社が前項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、同項の広告があった日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

会社法の解説

 22条は商号を継続して使用する場合の規定でしたが、本条では譲受会社が広告を行うことで、譲受会社が譲渡会社の債務を弁済する責任が生じます。

 また広告があった日から2年経過すると、譲渡会社に対して請求などされなかったものについては、譲渡会社の責任は消滅します。

税法の解説

 消費税において、債務を引き受けた金額は、譲渡対価と支払う金銭に加え、譲渡対価として扱われることになります。(質疑応答事例「営業の譲渡をした場合の対価の額」

(2024/11/20初回 令和6年5月22日 施行)

会社法22条(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)

条文

  • 第二十二条 事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
  • 2 前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
  • 3 譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
  • 4 第一項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

会社法の解説

 事業を譲り受けた場合に、商号を引き続き使用する場合に限っては、譲渡会社の事業による債務を弁済する責任を負うことになります。

 また2項では、「譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記」=免責の登記(商業登記法31条)を行うことで、上記義務は適用されないこととなります。この登記には譲渡会社の承諾書の添付が必要で、譲受会社の登記簿に記載されます。また登記せずとも、債権者に通知をすれば、その債権者については1項の適用を受けません。

 譲渡会社については、1項により債務を引き継いでもらっていれば、2年で債務の弁済義務が消滅します。

税法の解説

 趣旨は異なりますが、(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)が国税徴収法38条に定められています。事業を特殊関係者に譲渡した場合で、「同一又は類似の事業を営んでいる場合」には、「譲受財産の価額の限度において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う」こととされています。

 「その譲渡が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。」ともされており、あくまでも納税逃れのための事業譲渡について、補足する趣旨であると思われます。

(2024/11/19初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第21条(譲渡会社の競業の禁止)

条文

  • 第二十一条 事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。
  • 2 譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
  • 3 前二項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。

会社法の解説

 事業を譲渡した会社は、譲り受けた会社の客を奪うようなことになってはいけないので、20年間は隣接市区町村の中では同一の事業を行うことができません。また、特約によって競業禁止の範囲を変えたとしても、その期限は30年を超えることはできません。3項では特約によっても、不正の競争の目的をもって同一の事業を行うことはできないとされています。

 場所の問題については、今ではインターネット上での商売が一般的であり、特約などによって条件をきちんと定めておくことが需要そうです。

 事業譲渡については、特別決議が必要な会社法467条1項1-2号の事業譲渡の範囲と同じものと理解されているようです。

税法の解説

 事業譲渡は組織再編税制の対象になっていません。

 消費税も個々の資産の譲渡対価に区分し、計算をする必要があります(質疑応答「営業の譲渡をした場合の対価の額」)。土地や有価証券等の消費税法上「非課税」とされる資産が含まれている場合には、課税売上割合等の変化に注意が必要です。

(2024/11/14初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第20条(代理商の留置権)

条文

  • 第二十条 代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、会社のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。

会社法の解説

 代理商のその会社に対する留置権の条文です。商法31条の商人の代理商についても同様の規定があります。

 民法295条の留置権では、「その物に関して生じた債権を有するとき」はその債権につきその物を留置できるとされており、個別の関連性が要求されることになります。しかし、代理商の留置権では個別の関連性は要求されません。これは商法521条の商人間の留置権と同様です。

 また、商法521条の商人間の留置権については「債務者の所有する物又は有価証券」に限定されていますが、代理商の留意権は、留置の目的物は、会社の目的物が第三者に移転しているものについても認められます。

 イメージとしては、代理商が会社から借りたiPadについて、会社が代金を代理商に払わない場合には、これを留置できる。というところでしょうか。

税法の解説

 留置権は国税よりも優先して支払いに充てられます(下記国税徴収法21条)。上記のiPadについて会社が滞納処分でiPadを換価処分されたとしても、まずは代理商に換価代金は支払われ、その後に国税に充てられることになります。

参考:国税徴収法(留置権の優先)
第二十一条 留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、その国税は、その換価代金につき、その留置権により担保されていた債権に次いで徴収する。この場合において、その債権は、質権、抵当権、先取特権又は第二十三条第一項(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先)に規定する担保のための仮登記により担保される債権に先立つて配当するものとする。
2 前項の規定は、その留置権者が、滞納処分の手続において、その行政機関等に対し、その留置権がある事実を証明した場合に限り適用する。

(2024/11/13初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第19条(契約の解除)

条文

  • 第十九条 会社及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、二箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。
  • 2 前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、会社及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。

会社法の解説

 代理商の契約は委任契約か準委任契約となります。民法651条においても、一方からの契約解除の規定がありますが、会社法では特則として設けられているため、代理商である場合は会社法の規定が優先されます。

 民法の委任契約とは異なり2ヶ月前の予告期間がありますが、一方で会社法の規定では損害賠償については規定されていません。やむを得ない事由についても、代理商契約の中できちんと定義しておくべきです。

参考:民法(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

税法の解説

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(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第18条(通知を受ける権限)

条文

  • 第十八条 物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百二十六条第二項の通知その他の売買に関する通知を受ける権限を有する。


参考:商法(買主による目的物の検査及び通知)

  • 第五百二十六条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
  • 2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
  • 3 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。

会社法の解説

 商人には物品売買においては買主は検査する義務があります。この通知により不備があった場合の通知について、代理商も通知を受ける権限が与えられています。

 また、これは一例であり売買に関する通知については代理商でも受けられるので、売買契約解除の意思表示等のこの条文に限らない通知についても代理商は受け取る権限があると考えられます。

税法の解説

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(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第17条(代理商の競業の禁止)

条文

  • 第十七条 代理商は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
    • 一 自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
    • 二 会社の事業と同種の事業を行う他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
  • 2 代理商が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって代理商又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。

会社法の解説

 会社の許可を受けなければ、自己又は第三者のために、会社と同じ事業の取引を行うことができない「競合避止義務」が課されています。また、会社と同じ事業を行う会社の取締役などに就任することもできません。

 会社法12条の支配人と比較すると、自ら商売をすることや、会社と関係のない事業を行う会社であれば取締役に就任することなども制限されません。

 複数社の商品を取り扱う保険代理店などはこの規定があるため、会社の許可を得たうえで複数の保険会社の代理店契約を結ぶ必要があります。

税法の解説

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(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第16条(通知義務)

条文

  • 第十六条 代理商(会社のためにその平常の事業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その会社の使用人でないものをいう。以下この節において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、会社に対して、その旨の通知を発しなければならない。

会社法の解説

 代理商は、損害保険代理店等の会社のための取引を代理又は媒介をする者で、使用人でない者のことを言います。

 代理の場合は「締結代理商」と言い契約は委任契約となり、媒介の場合は「媒介代理商」と言われ準委任契約となります。それぞれ民法643条以下を参照することになります。

 この条文の通知義務については、民法645条(受任者による報告)では「委任者の請求があるときは」ではなく、代理・媒介後遅滞なく報告しなければならないとされている面で、厳しい取り扱いとなっています。

税法の解説

 消費税法において、委託販売等を行った場合に売上総額を資産の譲渡等の対価とするのか、差額の手数料相当額を資産の譲渡等の対価とするのか、悩むことがあります。これについては、手数料相当額を資産の譲渡等の対価を原則しつつも、売上総額でも認めるとの通達があります(消費税基本通達10-1-12(委託販売等に係る手数料)、)。また、パック旅行の代売契約については差額で課税売上として計上していいという簡便な取り扱いも質疑応答にあります(質疑応答「他社が主催するパック旅行を仕入れて販売する場合」)。

 ところで、代理商とは異なり、委託販売のような受託者が自己の名義の請求書を出す場合に限った話ですが、インボイス制度において「媒介者特例」が設けられており、委託者・受託者のすべてが適格請求書発行事業者であれば、受託者のインボイス番号のみを売上先に通知すればよいという特例も設けられています(インボイスQA 問49)。

(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法15条(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)

条文

  • 第十五条 物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

会社法の解説

 販売店舗の使用人は販売する権利があるものとみなします。レンタルビデオなどの賃貸でもこの適用があります。ただし清掃の人だと認識している場合など、明らかに権限がない使用人であることがわかっている場合にはこの限りではないとのことです。またこの条文は、店舗内での行為に適用されます。

 会社でない商人には商法26条に同様の規定があります。

※ バイトのにーちゃんが販売することに法的根拠がきちんと手当されていることに驚き。

税法の解説

 会社において従業員が商品を横領し、販売して収益を懐に入れていた場合などに、その収益について会社の帰属かどうかが問われることがあります。その場合には、その従業員の商品を販売する権限の有無などが問われます(平21.9.9、裁決事例集No.78 327頁)。

 会社の収益と認定される場合には、売上の計上漏れと、収益の帰属した従業員への給与が認定される可能性があります。給与の認定がなされた場合には、源泉徴収税の更正なども行われることになります。
 権限のない従業員が勝手にやったこととであれば、横領による損失を計上します。また、横領が発覚した時点での損害賠償権を計上すべきでしょう。

(2024/11/11初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第14条(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)

条文

  • 第十四条 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。
  • 2 前項に規定する使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

会社法の解説

 取引のたびに代理権の有無を確認するのは不便なので、包括的な代理権を与えることを良しとした条文とのことです。

税法の解説

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(2024/10/23初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第13条(表見支配人)

条文

  • 第十三条 会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

会社法の解説

 原宿支店・支店長等の名前をつけた使用人については、裁判に関しないことであれば原宿支店の事業に関しては一切の権限があるものとみなされます。

税法の解説

 取締役等の役員報酬であっても「使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの(法人税法34条1項)」については役員報酬としての損金不算入の規定の適用をうけないこととなります。
 この使用人としての職務を有するとは「役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するもの(法人税法34条6項)」とされいます。
 税務上は使用人兼務役員とするためには、何らかの職制上の地位が必要です。
 ただしその必要性だけで、第三者から見て主任者と思えるような役職をつけてしまうと、意図せず会社法上の大きな権限を与えてしまうことになりかねません。

(2024/10/23初回 令和6年5月22日 施行)