第1編 総則」カテゴリーアーカイブ

会社法24条(商人との間での事業の譲渡又は譲受け)

条文

  • 第二十四条 会社が商人に対してその事業を譲渡した場合には、当該会社を商法第十六条第一項に規定する譲渡人とみなして、同法第十七条から第十八条の二までの規定を適用する。この場合において、同条第三項中「又は再生手続開始の決定」とあるのは、「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とする。
  • 2 会社が商人の営業を譲り受けた場合には、当該商人を譲渡会社とみなして、前三条の規定を適用する。この場合において、前条第三項中「、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定」とあるのは、「又は再生手続開始の決定」とする。

参考 商法(営業譲渡人の競業の禁止)
第十六条 営業を譲渡した商人(以下この章において「譲渡人」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から二十年間は、同一の営業を行ってはならない。
2~3 (略)

第十七条(譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
第十八条(譲受人による債務の引受け)
第十八条の二(詐害営業譲渡に係る譲受人に対する債務の履行の請求)

会社法の解説

 商法17条から18条の2は、会社法22条から23条の2に対応します。
 会社法は会社間、商法は商人間の適用を想定しているため、本条文で会社から商人に事業を譲り渡した場合には、譲り渡した会社を商法の譲渡人とみなして商法の規定を適用することとしています(本条1項)。また、商人から会社営業にを譲り渡した場合には、譲り渡した商人を、譲渡会社とみなして、会社法の規定を適用することとしています(本条2項)。

税法の解説

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(2024/11/28初回 令和6年5月22日 施行)

会社法23条の2(詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求)

条文

  • 第二十三条の二 譲渡会社が譲受会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って事業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、その譲受会社が事業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
  • 2 譲受会社が前項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、譲渡会社が残存債権者を害することを知って事業を譲渡したことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。事業の譲渡の効力が生じた日から十年を経過したときも、同様とする。
  • 3 譲渡会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、譲受会社に対して第一項の規定による請求をする権利を行使することができない。

会社法の解説

 2014年の会社法改正で「詐害的会社分割によって害される債権者の保護規定の新設」と同時に設定された規定です。会社法759条4項(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)や会社法761条4項(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)にも同様の規定が創設されています。

 詐害的な事業譲渡が行われたときに、譲渡会社に対する残存債権者は、承継した財産を限度に譲受会社も債務の履行を請求できることとされています。(本条1項)

 この規定は、詐害行為を知ってから2年以内に請求などを行わないと消滅します。あた、事業譲渡から10年経過時にも消滅します。(本条2項)

税法の解説

 国税徴収法では、詐害の意図の有無にかかわらず特殊関係者に対する譲渡等である場合には、第二次納税義務が課されています(国税徴収法38条、39条)。

 国税徴収法の規定で徴収が難しい場合には、国税通則法42条(債権者代位権及び詐害行為取消権)の利用を検討することとされています(第二次納税義務関係事務運営指針「106詐害行為取消権と徴収法第39条との関係」)。

 国税通則法42条では、「民法第三編第一章第二節第二款(債権者代位権)及び第三款(詐害行為取消権)の規定は、国税の徴収に関して準用する。」されており、民法の規定を参照していますが、通達において会社法の規定(通達内では会社の新設分割(会社法第762条参照))も対象となりうるとされています(国税通則法基本通達4(財産権を目的とする行為)。

参考:第二次納税義務関係事務運営指針(詐害行為取消権と徴収法第39条との関係)
106 滞納者が無償譲渡等の処分をしている場合には、原則として、まず徴収法第39条の規定の適用の可否につき検討し、同条の適用がない場合には、詐害行為取消権(通則法42条)の行使の可否について検討するものとする。
 なお、受益者から徴収できるのは第二次納税義務の限度か又は詐害行為取消により徴収できる範囲に限られることに留意する。

未解決の疑問

この条文を見るの人は詐害行為をされた側だと思いますが。

  • 1.債権者は一人ひとり詐害行為だと訴えて訴訟?しなければならないのか
  • 2.税務署も?
  • 3.同じ詐害行為なら租税が優先されるのだろうか?

後日解決スべき疑問として。

(2024/11/20初回 令和6年5月22日 施行)

会社法23条(譲受会社による債務の引受け)

条文

  • 第二十三条 譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者は、その譲受会社に対して弁済の請求をすることができる。
  • 2 譲受会社が前項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、同項の広告があった日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

会社法の解説

 22条は商号を継続して使用する場合の規定でしたが、本条では譲受会社が広告を行うことで、譲受会社が譲渡会社の債務を弁済する責任が生じます。

 また広告があった日から2年経過すると、譲渡会社に対して請求などされなかったものについては、譲渡会社の責任は消滅します。

税法の解説

 消費税において、債務を引き受けた金額は、譲渡対価と支払う金銭に加え、譲渡対価として扱われることになります。(質疑応答事例「営業の譲渡をした場合の対価の額」

(2024/11/20初回 令和6年5月22日 施行)

会社法22条(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)

条文

  • 第二十二条 事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
  • 2 前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
  • 3 譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
  • 4 第一項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

会社法の解説

 事業を譲り受けた場合に、商号を引き続き使用する場合に限っては、譲渡会社の事業による債務を弁済する責任を負うことになります。

 また2項では、「譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記」=免責の登記(商業登記法31条)を行うことで、上記義務は適用されないこととなります。この登記には譲渡会社の承諾書の添付が必要で、譲受会社の登記簿に記載されます。また登記せずとも、債権者に通知をすれば、その債権者については1項の適用を受けません。

 譲渡会社については、1項により債務を引き継いでもらっていれば、2年で債務の弁済義務が消滅します。

税法の解説

 趣旨は異なりますが、(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)が国税徴収法38条に定められています。事業を特殊関係者に譲渡した場合で、「同一又は類似の事業を営んでいる場合」には、「譲受財産の価額の限度において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う」こととされています。

 「その譲渡が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。」ともされており、あくまでも納税逃れのための事業譲渡について、補足する趣旨であると思われます。

(2024/11/19初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第21条(譲渡会社の競業の禁止)

条文

  • 第二十一条 事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。
  • 2 譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
  • 3 前二項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。

会社法の解説

 事業を譲渡した会社は、譲り受けた会社の客を奪うようなことになってはいけないので、20年間は隣接市区町村の中では同一の事業を行うことができません。また、特約によって競業禁止の範囲を変えたとしても、その期限は30年を超えることはできません。3項では特約によっても、不正の競争の目的をもって同一の事業を行うことはできないとされています。

 場所の問題については、今ではインターネット上での商売が一般的であり、特約などによって条件をきちんと定めておくことが需要そうです。

 事業譲渡については、特別決議が必要な会社法467条1項1-2号の事業譲渡の範囲と同じものと理解されているようです。

税法の解説

 事業譲渡は組織再編税制の対象になっていません。

 消費税も個々の資産の譲渡対価に区分し、計算をする必要があります(質疑応答「営業の譲渡をした場合の対価の額」)。土地や有価証券等の消費税法上「非課税」とされる資産が含まれている場合には、課税売上割合等の変化に注意が必要です。

(2024/11/14初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第20条(代理商の留置権)

条文

  • 第二十条 代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、会社のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。

会社法の解説

 代理商のその会社に対する留置権の条文です。商法31条の商人の代理商についても同様の規定があります。

 民法295条の留置権では、「その物に関して生じた債権を有するとき」はその債権につきその物を留置できるとされており、個別の関連性が要求されることになります。しかし、代理商の留置権では個別の関連性は要求されません。これは商法521条の商人間の留置権と同様です。

 また、商法521条の商人間の留置権については「債務者の所有する物又は有価証券」に限定されていますが、代理商の留意権は、留置の目的物は、会社の目的物が第三者に移転しているものについても認められます。

 イメージとしては、代理商が会社から借りたiPadについて、会社が代金を代理商に払わない場合には、これを留置できる。というところでしょうか。

税法の解説

 留置権は国税よりも優先して支払いに充てられます(下記国税徴収法21条)。上記のiPadについて会社が滞納処分でiPadを換価処分されたとしても、まずは代理商に換価代金は支払われ、その後に国税に充てられることになります。

参考:国税徴収法(留置権の優先)
第二十一条 留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、その国税は、その換価代金につき、その留置権により担保されていた債権に次いで徴収する。この場合において、その債権は、質権、抵当権、先取特権又は第二十三条第一項(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先)に規定する担保のための仮登記により担保される債権に先立つて配当するものとする。
2 前項の規定は、その留置権者が、滞納処分の手続において、その行政機関等に対し、その留置権がある事実を証明した場合に限り適用する。

(2024/11/13初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第19条(契約の解除)

条文

  • 第十九条 会社及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、二箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。
  • 2 前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、会社及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。

会社法の解説

 代理商の契約は委任契約か準委任契約となります。民法651条においても、一方からの契約解除の規定がありますが、会社法では特則として設けられているため、代理商である場合は会社法の規定が優先されます。

 民法の委任契約とは異なり2ヶ月前の予告期間がありますが、一方で会社法の規定では損害賠償については規定されていません。やむを得ない事由についても、代理商契約の中できちんと定義しておくべきです。

参考:民法(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

税法の解説

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(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第18条(通知を受ける権限)

条文

  • 第十八条 物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百二十六条第二項の通知その他の売買に関する通知を受ける権限を有する。


参考:商法(買主による目的物の検査及び通知)

  • 第五百二十六条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
  • 2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
  • 3 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。

会社法の解説

 商人には物品売買においては買主は検査する義務があります。この通知により不備があった場合の通知について、代理商も通知を受ける権限が与えられています。

 また、これは一例であり売買に関する通知については代理商でも受けられるので、売買契約解除の意思表示等のこの条文に限らない通知についても代理商は受け取る権限があると考えられます。

税法の解説

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(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第17条(代理商の競業の禁止)

条文

  • 第十七条 代理商は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
    • 一 自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
    • 二 会社の事業と同種の事業を行う他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
  • 2 代理商が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって代理商又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。

会社法の解説

 会社の許可を受けなければ、自己又は第三者のために、会社と同じ事業の取引を行うことができない「競合避止義務」が課されています。また、会社と同じ事業を行う会社の取締役などに就任することもできません。

 会社法12条の支配人と比較すると、自ら商売をすることや、会社と関係のない事業を行う会社であれば取締役に就任することなども制限されません。

 複数社の商品を取り扱う保険代理店などはこの規定があるため、会社の許可を得たうえで複数の保険会社の代理店契約を結ぶ必要があります。

税法の解説

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(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第16条(通知義務)

条文

  • 第十六条 代理商(会社のためにその平常の事業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その会社の使用人でないものをいう。以下この節において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、会社に対して、その旨の通知を発しなければならない。

会社法の解説

 代理商は、損害保険代理店等の会社のための取引を代理又は媒介をする者で、使用人でない者のことを言います。

 代理の場合は「締結代理商」と言い契約は委任契約となり、媒介の場合は「媒介代理商」と言われ準委任契約となります。それぞれ民法643条以下を参照することになります。

 この条文の通知義務については、民法645条(受任者による報告)では「委任者の請求があるときは」ではなく、代理・媒介後遅滞なく報告しなければならないとされている面で、厳しい取り扱いとなっています。

税法の解説

 消費税法において、委託販売等を行った場合に売上総額を資産の譲渡等の対価とするのか、差額の手数料相当額を資産の譲渡等の対価とするのか、悩むことがあります。これについては、手数料相当額を資産の譲渡等の対価を原則しつつも、売上総額でも認めるとの通達があります(消費税基本通達10-1-12(委託販売等に係る手数料)、)。また、パック旅行の代売契約については差額で課税売上として計上していいという簡便な取り扱いも質疑応答にあります(質疑応答「他社が主催するパック旅行を仕入れて販売する場合」)。

 ところで、代理商とは異なり、委託販売のような受託者が自己の名義の請求書を出す場合に限った話ですが、インボイス制度において「媒介者特例」が設けられており、委託者・受託者のすべてが適格請求書発行事業者であれば、受託者のインボイス番号のみを売上先に通知すればよいという特例も設けられています(インボイスQA 問49)。

(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法15条(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)

条文

  • 第十五条 物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

会社法の解説

 販売店舗の使用人は販売する権利があるものとみなします。レンタルビデオなどの賃貸でもこの適用があります。ただし清掃の人だと認識している場合など、明らかに権限がない使用人であることがわかっている場合にはこの限りではないとのことです。またこの条文は、店舗内での行為に適用されます。

 会社でない商人には商法26条に同様の規定があります。

※ バイトのにーちゃんが販売することに法的根拠がきちんと手当されていることに驚き。

税法の解説

 会社において従業員が商品を横領し、販売して収益を懐に入れていた場合などに、その収益について会社の帰属かどうかが問われることがあります。その場合には、その従業員の商品を販売する権限の有無などが問われます(平21.9.9、裁決事例集No.78 327頁)。

 会社の収益と認定される場合には、売上の計上漏れと、収益の帰属した従業員への給与が認定される可能性があります。給与の認定がなされた場合には、源泉徴収税の更正なども行われることになります。
 権限のない従業員が勝手にやったこととであれば、横領による損失を計上します。また、横領が発覚した時点での損害賠償権を計上すべきでしょう。

(2024/11/11初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第14条(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)

条文

  • 第十四条 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。
  • 2 前項に規定する使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

会社法の解説

 取引のたびに代理権の有無を確認するのは不便なので、包括的な代理権を与えることを良しとした条文とのことです。

税法の解説

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(2024/10/23初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第13条(表見支配人)

条文

  • 第十三条 会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

会社法の解説

 原宿支店・支店長等の名前をつけた使用人については、裁判に関しないことであれば原宿支店の事業に関しては一切の権限があるものとみなされます。

税法の解説

 取締役等の役員報酬であっても「使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの(法人税法34条1項)」については役員報酬としての損金不算入の規定の適用をうけないこととなります。
 この使用人としての職務を有するとは「役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するもの(法人税法34条6項)」とされいます。
 税務上は使用人兼務役員とするためには、何らかの職制上の地位が必要です。
 ただしその必要性だけで、第三者から見て主任者と思えるような役職をつけてしまうと、意図せず会社法上の大きな権限を与えてしまうことになりかねません。

(2024/10/23初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第12条(支配人の競業の禁止)

条文

  • 第十二条 支配人は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
    • 一 自ら営業を行うこと。
    • 二 自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
    • 三 他の会社又は商人(会社を除く。第二十四条において同じ。)の使用人となること。
    • 四 他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
  • 2 支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。

会社法の解説

 支配人は、雇用契約に関する義務(民法623条以下)や、支配権に関する委任契約に基づく義務(民法643条以下)を負っています。これに追加して、より強度の競業避止義務と他業避止義務を課しています。

 支配人は、会社の許可がなければ、営業時間外であっても、自ら商売をしたり(1号)、自社と同様の取引を行ったり(2号)、会社や商人の使用人(3号)や取締役や執行役等(4号)になることはできません。逆に商人でないものの使用人等になることについては規制されておらず、また他の会社の監査役や会計監査役になることは、継続的な業務執行ではないので就任可能です。

 取締役は2号に相当する競業禁止義務(会社法356条1項1号)は存在しますが、本条1号と3号に当たる規定はなく、支配人のほうが厳しい規定となっています。これは、支配人は業務執行を行うことになる一方で、取締役については「昭和25年改正商法が取締役会制度を導入し、個々の取締役が当然には会社の業務執行機関とはいえ」なくなったためです(会社法コンメンタール1-P166)。その結果取締役には同業の会社の取締役に就任すること等も可能になっています。

税法の解説

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(2024/11/8初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第11条(支配人の代理権)

条文

  • 第十一条 支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
  • 2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
  • 3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

会社法の解説

 支配人は会社法439条の代表取締役の規定と同様に規定されており、強力な権限を保有しています。

 また代理権の範囲については、その「営業所」の範囲内であるかどうかには議論があるようです。

税法の解説

 支配人と代表取締役の権限は同様に強力です。しかし支配人は取締役によって専任される立場であり、上下関係は明らかです。賃金を決定する立場などを考慮しても、税法上では支配人は使用人と扱われるものと考えます。

(2024/11/4 初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第10条(支配人)

条文

  • 第十条 会社(外国会社を含む。以下この編において同じ。)は、支配人を選任し、その本店又は支店において、その事業を行わせることができる。

会社法の解説

 商法・会社法では3種類の使用人について規定されており、『「支配人」(本条)、「ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人」(14条)、および「物品販売店の使用人」(15条)の3種類』(会社法コンメンタール1 P157)

 支配人は取締役の過半数の同意(会社法348条3項1号)、もしくは取締役会設置会社では取締役会決議(会社法362条4項3号)により選任されるものとされていて、各取締役に決定を委任することはできません。

 支配人と取締役の兼務は制限されていませんが、会計参与(会社法333条3項1号)、監査役(会社法335条2項)、委員会設置会社の監査委員(会社法400条4項)等とは兼務することができません。
 支配人は取締役などと同様に、過去10年内に支配人であった場合には社外取締役や社外監査役への就任制限があります(会社法2条1項15号、16号)。

 支配人の選任や解任には登記義務があります(会社法918条)。

税法の解説

 支配人は使用人の一種であり、使用人兼務役員を判定する場合の「その他法人の使用人としての職制上の地位」とされ、この地位に加えて常時使用人としての職務に従事する場合には、使用人兼務役員とされます(法人税法34条6項、法人税法基本通達9-2-5)。
 つまり、支配人として受ける報酬は、法人税法34条の損金不算入の適用を受ける役員報酬には該当しないということになります。

(2024/11/1初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第9条(自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任)

条文

  • 第九条 自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

会社法の解説

 名板貸責任と言うそうです。
 商法14条にも同じ規定があります。

参考:商法
(自己の商号の使用を他人に許諾した商人の責任)
第十四条 自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人に許諾した商人は、当該商人が当該営業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

税法の解説

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(2024/11/1初回 令和6年5月22日 施行)

会社法8条

条文

  • 第八条 何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
  • 2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

会社法の解説

 会社でない場合でも、商法11条には商人の商号について定められており、登記が可能です。

 不正競争防止法2条では他の商号と同一や類似の商号を使用し「人の商品又は営業と混同を生じさせる行為(1号)」、不正の利益を得る目的で「同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為(19号)」は、不正競争として規制されています。

 会社法978条1項3号において「第八条第一項の規定に違反して、他の会社(外国会社を含む。)であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用した者」については、百万円以下の過料に処する。こととされています。

 昨今同じ名前の会社名を作ることは特に問題なくできますが、この条文を見ると少し慎重になってもいいかもしれませんね。

税法の解説

 特にありません。

(2024/10/23初回 令和6年5月22日 施行)

会社法7条(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)

条文

(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)
第七条 会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

会社法の解説

 会社以外の者が、株式会社等の名称を使ってはいけない。さらに罰則まである。

 会社法978条1項2号において「第七条の規定に違反して、会社であると誤認されるおそれのある文字をその名称又は商号中に使用した者」については「百万円以下の過料に処する」こととされています。

税法の解説

 特にありません。

(2024/10/18初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第6条(商号)

条文

  • 第六条 会社は、その名称を商号とする。
  • 2 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
  • 3 会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

会社法の解説

 絶対的登記事項。

 例外として特例有限会社については、株式会社の一種であるが「有限会社」という文字を用いるものとされています(会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第3条)。

 会社法978条において「第六条第三項の規定に違反して、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字をその商号中に用いた者」については、百万円以下の過料に処する。こととされています。

税法の解説

 特にありません。

(2024/10/20初回 令和6年5月22日 施行)