第3章 会社の使用人等」カテゴリーアーカイブ

会社法第20条(代理商の留置権)

条文

  • 第二十条 代理商は、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまでは、会社のために当該代理商が占有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者が別段の意思表示をしたときは、この限りでない。

会社法の解説

 代理商のその会社に対する留置権の条文です。商法31条の商人の代理商についても同様の規定があります。

 民法295条の留置権では、「その物に関して生じた債権を有するとき」はその債権につきその物を留置できるとされており、個別の関連性が要求されることになります。しかし、代理商の留置権では個別の関連性は要求されません。これは商法521条の商人間の留置権と同様です。

 また、商法521条の商人間の留置権については「債務者の所有する物又は有価証券」に限定されていますが、代理商の留意権は、留置の目的物は、会社の目的物が第三者に移転しているものについても認められます。

 イメージとしては、代理商が会社から借りたiPadについて、会社が代金を代理商に払わない場合には、これを留置できる。というところでしょうか。

税法の解説

 留置権は国税よりも優先して支払いに充てられます(下記国税徴収法21条)。上記のiPadについて会社が滞納処分でiPadを換価処分されたとしても、まずは代理商に換価代金は支払われ、その後に国税に充てられることになります。

参考:国税徴収法(留置権の優先)
第二十一条 留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、その国税は、その換価代金につき、その留置権により担保されていた債権に次いで徴収する。この場合において、その債権は、質権、抵当権、先取特権又は第二十三条第一項(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先)に規定する担保のための仮登記により担保される債権に先立つて配当するものとする。
2 前項の規定は、その留置権者が、滞納処分の手続において、その行政機関等に対し、その留置権がある事実を証明した場合に限り適用する。

(2024/11/13初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第19条(契約の解除)

条文

  • 第十九条 会社及び代理商は、契約の期間を定めなかったときは、二箇月前までに予告し、その契約を解除することができる。
  • 2 前項の規定にかかわらず、やむを得ない事由があるときは、会社及び代理商は、いつでもその契約を解除することができる。

会社法の解説

 代理商の契約は委任契約か準委任契約となります。民法651条においても、一方からの契約解除の規定がありますが、会社法では特則として設けられているため、代理商である場合は会社法の規定が優先されます。

 民法の委任契約とは異なり2ヶ月前の予告期間がありますが、一方で会社法の規定では損害賠償については規定されていません。やむを得ない事由についても、代理商契約の中できちんと定義しておくべきです。

参考:民法(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

税法の解説

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(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第18条(通知を受ける権限)

条文

  • 第十八条 物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百二十六条第二項の通知その他の売買に関する通知を受ける権限を有する。


参考:商法(買主による目的物の検査及び通知)

  • 第五百二十六条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
  • 2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
  • 3 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。

会社法の解説

 商人には物品売買においては買主は検査する義務があります。この通知により不備があった場合の通知について、代理商も通知を受ける権限が与えられています。

 また、これは一例であり売買に関する通知については代理商でも受けられるので、売買契約解除の意思表示等のこの条文に限らない通知についても代理商は受け取る権限があると考えられます。

税法の解説

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(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第17条(代理商の競業の禁止)

条文

  • 第十七条 代理商は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
    • 一 自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
    • 二 会社の事業と同種の事業を行う他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
  • 2 代理商が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって代理商又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。

会社法の解説

 会社の許可を受けなければ、自己又は第三者のために、会社と同じ事業の取引を行うことができない「競合避止義務」が課されています。また、会社と同じ事業を行う会社の取締役などに就任することもできません。

 会社法12条の支配人と比較すると、自ら商売をすることや、会社と関係のない事業を行う会社であれば取締役に就任することなども制限されません。

 複数社の商品を取り扱う保険代理店などはこの規定があるため、会社の許可を得たうえで複数の保険会社の代理店契約を結ぶ必要があります。

税法の解説

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(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第16条(通知義務)

条文

  • 第十六条 代理商(会社のためにその平常の事業の部類に属する取引の代理又は媒介をする者で、その会社の使用人でないものをいう。以下この節において同じ。)は、取引の代理又は媒介をしたときは、遅滞なく、会社に対して、その旨の通知を発しなければならない。

会社法の解説

 代理商は、損害保険代理店等の会社のための取引を代理又は媒介をする者で、使用人でない者のことを言います。

 代理の場合は「締結代理商」と言い契約は委任契約となり、媒介の場合は「媒介代理商」と言われ準委任契約となります。それぞれ民法643条以下を参照することになります。

 この条文の通知義務については、民法645条(受任者による報告)では「委任者の請求があるときは」ではなく、代理・媒介後遅滞なく報告しなければならないとされている面で、厳しい取り扱いとなっています。

税法の解説

 消費税法において、委託販売等を行った場合に売上総額を資産の譲渡等の対価とするのか、差額の手数料相当額を資産の譲渡等の対価とするのか、悩むことがあります。これについては、手数料相当額を資産の譲渡等の対価を原則しつつも、売上総額でも認めるとの通達があります(消費税基本通達10-1-12(委託販売等に係る手数料)、)。また、パック旅行の代売契約については差額で課税売上として計上していいという簡便な取り扱いも質疑応答にあります(質疑応答「他社が主催するパック旅行を仕入れて販売する場合」)。

 ところで、代理商とは異なり、委託販売のような受託者が自己の名義の請求書を出す場合に限った話ですが、インボイス制度において「媒介者特例」が設けられており、委託者・受託者のすべてが適格請求書発行事業者であれば、受託者のインボイス番号のみを売上先に通知すればよいという特例も設けられています(インボイスQA 問49)。

(2024/11/12初回 令和6年5月22日 施行)

会社法15条(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)

条文

  • 第十五条 物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

会社法の解説

 販売店舗の使用人は販売する権利があるものとみなします。レンタルビデオなどの賃貸でもこの適用があります。ただし清掃の人だと認識している場合など、明らかに権限がない使用人であることがわかっている場合にはこの限りではないとのことです。またこの条文は、店舗内での行為に適用されます。

 会社でない商人には商法26条に同様の規定があります。

※ バイトのにーちゃんが販売することに法的根拠がきちんと手当されていることに驚き。

税法の解説

 会社において従業員が商品を横領し、販売して収益を懐に入れていた場合などに、その収益について会社の帰属かどうかが問われることがあります。その場合には、その従業員の商品を販売する権限の有無などが問われます(平21.9.9、裁決事例集No.78 327頁)。

 会社の収益と認定される場合には、売上の計上漏れと、収益の帰属した従業員への給与が認定される可能性があります。給与の認定がなされた場合には、源泉徴収税の更正なども行われることになります。
 権限のない従業員が勝手にやったこととであれば、横領による損失を計上します。また、横領が発覚した時点での損害賠償権を計上すべきでしょう。

(2024/11/11初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第14条(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)

条文

  • 第十四条 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。
  • 2 前項に規定する使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

会社法の解説

 取引のたびに代理権の有無を確認するのは不便なので、包括的な代理権を与えることを良しとした条文とのことです。

税法の解説

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(2024/10/23初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第13条(表見支配人)

条文

  • 第十三条 会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

会社法の解説

 原宿支店・支店長等の名前をつけた使用人については、裁判に関しないことであれば原宿支店の事業に関しては一切の権限があるものとみなされます。

税法の解説

 取締役等の役員報酬であっても「使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの(法人税法34条1項)」については役員報酬としての損金不算入の規定の適用をうけないこととなります。
 この使用人としての職務を有するとは「役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するもの(法人税法34条6項)」とされいます。
 税務上は使用人兼務役員とするためには、何らかの職制上の地位が必要です。
 ただしその必要性だけで、第三者から見て主任者と思えるような役職をつけてしまうと、意図せず会社法上の大きな権限を与えてしまうことになりかねません。

(2024/10/23初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第12条(支配人の競業の禁止)

条文

  • 第十二条 支配人は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
    • 一 自ら営業を行うこと。
    • 二 自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
    • 三 他の会社又は商人(会社を除く。第二十四条において同じ。)の使用人となること。
    • 四 他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
  • 2 支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。

会社法の解説

 支配人は、雇用契約に関する義務(民法623条以下)や、支配権に関する委任契約に基づく義務(民法643条以下)を負っています。これに追加して、より強度の競業避止義務と他業避止義務を課しています。

 支配人は、会社の許可がなければ、営業時間外であっても、自ら商売をしたり(1号)、自社と同様の取引を行ったり(2号)、会社や商人の使用人(3号)や取締役や執行役等(4号)になることはできません。逆に商人でないものの使用人等になることについては規制されておらず、また他の会社の監査役や会計監査役になることは、継続的な業務執行ではないので就任可能です。

 取締役は2号に相当する競業禁止義務(会社法356条1項1号)は存在しますが、本条1号と3号に当たる規定はなく、支配人のほうが厳しい規定となっています。これは、支配人は業務執行を行うことになる一方で、取締役については「昭和25年改正商法が取締役会制度を導入し、個々の取締役が当然には会社の業務執行機関とはいえ」なくなったためです(会社法コンメンタール1-P166)。その結果取締役には同業の会社の取締役に就任すること等も可能になっています。

税法の解説

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(2024/11/8初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第11条(支配人の代理権)

条文

  • 第十一条 支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
  • 2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
  • 3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

会社法の解説

 支配人は会社法439条の代表取締役の規定と同様に規定されており、強力な権限を保有しています。

 また代理権の範囲については、その「営業所」の範囲内であるかどうかには議論があるようです。

税法の解説

 支配人と代表取締役の権限は同様に強力です。しかし支配人は取締役によって専任される立場であり、上下関係は明らかです。賃金を決定する立場などを考慮しても、税法上では支配人は使用人と扱われるものと考えます。

(2024/11/4 初回 令和6年5月22日 施行)

会社法第10条(支配人)

条文

  • 第十条 会社(外国会社を含む。以下この編において同じ。)は、支配人を選任し、その本店又は支店において、その事業を行わせることができる。

会社法の解説

 商法・会社法では3種類の使用人について規定されており、『「支配人」(本条)、「ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人」(14条)、および「物品販売店の使用人」(15条)の3種類』(会社法コンメンタール1 P157)

 支配人は取締役の過半数の同意(会社法348条3項1号)、もしくは取締役会設置会社では取締役会決議(会社法362条4項3号)により選任されるものとされていて、各取締役に決定を委任することはできません。

 支配人と取締役の兼務は制限されていませんが、会計参与(会社法333条3項1号)、監査役(会社法335条2項)、委員会設置会社の監査委員(会社法400条4項)等とは兼務することができません。
 支配人は取締役などと同様に、過去10年内に支配人であった場合には社外取締役や社外監査役への就任制限があります(会社法2条1項15号、16号)。

 支配人の選任や解任には登記義務があります(会社法918条)。

税法の解説

 支配人は使用人の一種であり、使用人兼務役員を判定する場合の「その他法人の使用人としての職制上の地位」とされ、この地位に加えて常時使用人としての職務に従事する場合には、使用人兼務役員とされます(法人税法34条6項、法人税法基本通達9-2-5)。
 つまり、支配人として受ける報酬は、法人税法34条の損金不算入の適用を受ける役員報酬には該当しないということになります。

(2024/11/1初回 令和6年5月22日 施行)