会社法25条

条文

  • 第二十五条 株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
    • 一 次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
    • 二 次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
  • 2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

参考
(1項1号発起設立)
第二節 定款の作成
第三節 出資
第四節 設立時役員等の選任及び解任
第五節 設立時取締役等による調査
第六節 設立時代表取締役等の選定等
第七節 株式会社の成立
第八節 発起人等の責任等

(1項2号募集設立)
第二節 定款の作成
第三節 出資
第三十九条(設立時役員等の選任)
第六節 設立時代表取締役等の選定等
第七節 株式会社の成立
第八節 発起人等の責任等
第九節 募集による設立

会社法の解説

 会社の設立は、発起設立(1項1号)と募集設立(1項2号)があります。
 司法書士に確認したところ、発起設立が一般的な株式会社設立の方法であり、募集設立はほとんど行われない設立の方法のようです。税理士としても募集設立は実務上ほとんど見かけません。
 2006年会社法改正時には、募集設立は廃止の議論もあったようです(会社法制の現代化に関する要綱試案)。しかし「設立時に多くの出資者がいる場合には募集設立は有用であり、特に外国法人を出資者とする場合には、発起設立は必要書類(印鑑証明書に代わる署名証明書)を揃えるのに時間がかかり、発起人とすることが困難である。募集設立を存置しても考えられる弊害は小さい(日本経団連「会社法制の現代化に関する要綱試案」についての意見)」という意見もあり、最終的には募集設立は存置されています。

 発起人には資格制限は特にありません。未成年者(民法5条)、成年被後見人(民法9条)、被保佐人(民法13条)、被補助人(民法17条)などの制限能力者も、発起人になることができます。ただし、実務上は法定代理人等の同意が必要となる場合があります。また、会社も発起人になることができます。

 会社が設立前の状態については、発起人組合という状態と、設立中の会社という状態が考えられているそうです。具体的にどの行為が、どちらに帰属するのか、双方に帰属するかなどについては様々な議論があるようで、このブログでは言及を避けます。

 発起人が複数いる場合には、「会社の設立を共同して行う旨の合意が相互になされ、会社設立を目的とする民法上の組合契約(民法667条)が締結されたものと解されている(大判大正7年7月10日民録24集1480頁)。このことを踏まえて発起人組合という団体が観念され」ることなっているようです(逐条解説会社法第1巻総則・設立第1版6刷P229)。

 「設立中の会社」という概念も用いられています。「株式会社については、その設立登記前に「登記中の会社」という会社成立を目的とする「権利能力なき社団」が成立しており、成立中の会社と成立後の会社とは同一の存在であるから(同一性説)、設立中の会社のすべての関係が設立後の会社に帰属する」(会社法コンメンタール1総則・設立(1)初版第5刷P266)。

参考:
・法務省:会社法制の現代化に関する要綱試案
・日本経団連:「会社法制の現代化に関する要綱試案」についての意見)

税法の解説

 税法では、設立準備の状態は、上記「設立中の会社」という考え方を採用しているように思います。

 法人の成立前に発起人が支出した費用については、法人税法では創立費という費用として、会計上の処理を前提として損金算入を認めています(法人税法2条1項24号、法人税法32条、法人税法施行令14条1項1,2号)。

 消費税法では、設立準備費用は設立後最初の課税期間に処理することとができることとされています(消費税法基本通達9-6-1)。ただし、消費税法においては設立期間が通常に比べ長期にわたる場合や、個人事業を引き継いで設立した場合の「当該個人事業者が行った」ものについては、この限りではないものとされ、本来の課税仕入れの時期での処理となるものと思われます。
 設立期間が長期に渡る場合は、発起人単独ないし「発起人組合」や「権利なき社団」として申告することになると考えられます(三村の見解)。
 個人事業の法人成りについては、設立中の法人のものと、個人事業のものを区分することが求められることになります。

法人税法施行令
(繰延資産の範囲)
第十四条 法第二条第二十四号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
一 創立費(発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税その他法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきものをいう。)
(以降略)

法人税法基本通達
(定款記載を欠く設立費用)
8-1-1 法人がその設立のために通常必要と認められる費用を支出した場合において、当該費用を当該法人の負担とすべきことがその定款等で定められていないときであっても、当該費用は令第14条第1項第1号《創立費》に規定する「法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきもの」に該当するものとする。(昭55年直法2-8「二十八」により追加、平19年課法2-17「十六」により改正)

消費税法基本通達
(法人の設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れの帰属)
9-6-1 法人の設立期間中に当該設立中の法人が行った資産の譲渡等及び課税仕入れは、当該法人のその設立後最初の課税期間における資産の譲渡等及び課税仕入れとすることができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れ又は当該法人が個人事業を引継いで設立されたものである場合における当該個人事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れについては、この限りでない。
(注) 本文の取扱いによる場合であっても、当該法人の設立後最初の課税期間の開始の日は、当該法人の設立の日となるのであるから留意する。

(2024/12/4初回 令和6年5月22日 施行)

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